赤線地帯 作品情報

あかせんちたい

特飲店「夢の里」には一人息子修一のために働くゆめ子、汚職で入獄した父の保釈金のために身を落したやすみ、失業の夫をもつ通い娼婦のハナエ、元黒人兵のオンリーだったミッキーなどがいた。国会には売春禁止法案が上提されていた。「夢の里」の主人田谷は、法案が通れば娼婦は監獄へ入れられるといって彼女等を失望させた。新聞を読んで前借が無効になったと考えたより江は世帯道具を持ってなじみ客の下駄屋の許へ飛び出したが、結局自堕落な生活にまた舞い戻ってくるのであった。ゆめ子は息子修一に会うために田舎へ行ったが、修一は親子の縁をきって東京に来ていた。ある雨の降る日、しず子という下働きの少女が「夢の里」に入って来た。ミッキーのおごりで無心に天丼をたべるしず子の瞳をみつめていたゆめ子が突然、修一の名を呼びながら発狂した。その夜、やすみにだまされたと知った炭屋の青木がやすみの首をしめた。やすみは死に損なったが、青木は宮崎巡査に連行された。ゆめ子が病院に送られる頃、ラジオは法案の四度目の流産を報じていた。そして今日も「夢の里」には、何ごともなかったように、ネオンの下で客呼びの声が聞える。やすみの姿が見えないのは、彼女のなじみ客だった貸ぶとん屋ニコニコ堂主人の塩見が夜逃げしたあと、そこを買いとって女主人になってしまったからである。そしてやすみに代って、下働きだったしず子が、威勢よく客呼びするミッキーの蔭で初店の盛装をこらして、しょんぼり立っていた。

「赤線地帯」の解説

「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」の共同脚色者の一人、成澤昌茂の脚本を、「新・平家物語」の溝口健二が監督、「俺は藤吉郎」の宮川一夫が撮影を担当した。主なる出演者は「虹いくたび」の若尾文子、京マチ子、川上康子、「母ふたり」の三益愛子、「幸福はあの星の下に」の木暮実千代、「大当り男一代」の進藤英太郎、「東京犯罪地図」の菅原謙二、「剣豪二刀流」の加東大介など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督溝口健二
出演若尾文子 三益愛子 町田博子 京マチ子 木暮実千代 川上康子 進藤英太郎 沢村貞子 浦辺粂子 春本富士夫 入江洋佑 高堂国典 三好栄子 十朱久雄 丸山修 菅原謙二 加東大介 見明凡太朗 小川虎之助 多々良純 宮島健一 青木富士夫
配給 大映
制作国 日本(1956)
上映時間 85分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-08-23

本篇の音楽担当は黛敏郎,国立映画アーカイブニューズレターには映画音楽と映画音響の1950年代と云う論考が掲載されていて興味深い。その中のキーワードはミュジック・コンクレート。現代音楽にも通じ,反リアリズムなシュールレアリスム風も。溝口健二監督の遺作にしてフレッシュなタッチの新生面を感じさせる本篇の秘密はこんな音楽の挿入手法にもあるのかも知れない

最終更新日:2024-09-02 16:00:01

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