蝶々夫人 作品情報

ちょうちょうふじん

明治の中頃、長崎に寄港したアメリカ軍艦の海軍士官ピンカートンは料亭を訪れ、芸者蝶々の美しさに一目で心を奪われた。彼女は土地の大尽山鳥に追われていたが、ピンカートンは迎えの女中を追い返して彼女をかばった。幇間五郎は二人の仲をいつでも取りもつと挨拶した。そして幾日かたって、ピンカートンは蝶々と結婚し、長崎の高台に新居をかまえることになった。新居には蝶々さんの世話をする鈴木という女がいた。結婚式にはシャープレス領事も参会し、蝶々の母や友人たちが集って賑やかな宴がつづいた。そのとき蝶々の叔父にあたる坊主がおどりこみ、「天魔の崇りがあるから一切の縁を切る」と、列席者たちを追いたてた。人々に見はなされた蝶々さんは、ピンカートンの愛情と、いつに変らぬ鈴木の心づかいに慰められて、淋しくとも幸福な日々を送った。桜も散り夏もすぎ、やがて冬が訪れる頃、ピンカートンの乗艦リンカーン号は一旦アメリカへ帰ることになった。夫を涙で見送ってから一年はすぎ、蝶々は赤ん坊を生んでいた。しかしピンカートンは帰らなかった。それから更に二年、米国からは何の便りもなく蝶々は悲しみに暮れていた。ある晴れた日、米艦の入港を知らせる砲声が轟いた。だが夫の代りに領事が訪れ、離婚の手紙を渡した。ピンカートンは米国で結婚した夫人と共に子供を引取りに来たが、「はずかしめられて生きるより死を選ぶ」と、蝶々は誰もいない座敷で父の遺した短刀で自殺した。

「蝶々夫人」の解説

プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の映画化で、東宝が伊リッツォーリ・フィルム及びガローネ・プロと協同で製作し、撮影は一九五四年十月から三ヵ月、ローマのチネチッタで行われた。脚本は伊映画界の古参カルミネ・ガローネと東宝製作本部長森岩雄が共同で執筆し、「ファウスト」のガローネが監督にあたった。撮影は「河」のクロード・ルノアール、美術は三林亮太郎が担当し、メークアップ、結髪、衣裳等にも日本側のスタッフが参加した。出演者は日本から「宮本武蔵(1954)」の八千草薫、「潮騒(1954)」の小杉義男、「悪の愉しさ」の東郷晴子、「東京ファイル212」の中村哲、歌手の田中路子と高木清のほか宝塚歌劇団の人達、イタリアから新進のテノール歌手ニコラ・フィラクリディをはじめフェルディナンド・リドンニが出演、歌はオペラ歌手オリエッタ・モスクッチィ、ジュゼッペ・カンポーラ、アンナ・マリア・カナーリその他が受けもった。テクニカラーによる色彩映画。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督カルミネ・ガローネ
原作J. L. Long
出演八千草薫 ニコラ・フィラクリディ 田中路子 フェルディナンド・リドンニ 中村哲 高木清 小杉義男 東郷晴子 桜間秀子 四条浪子 恵ゆたか 藤波洸子 淀かほる 長良しのぶ 姿美也子 梓真弓 寿美花代 登代春枝 伊吹友木子 筑紫まり 朝比奈世志子 田鶴千恵子 鳳八千代 オリエッタ・モスクッチィ ジュゼッペ・カンポーラ アンナ・マリア・カナーリ フェルディナンド・リドンニ Paolo Caroli Adelio Zagoli Plinio Clabassi Maria Marcangeli
配給 東宝
制作国 イタリア 日本(1955)
上映時間 114分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:48

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