武器なき斗い(1960) 作品情報
ぶきなきたたかい
大正一二年、関東大震災が日本の経済に大打撃をあたえた直後。時の政府・資本家たちは治安維持法を制定してプロレタリア弾圧にのりだしていた。京都同志社大学で教壇にたって生物学者山本宣治は、その頃新しい考えかたによる性教育の必要を痛感して、教室で講義をしたり労組の集りで産児制限の講演をおこなったりしていた。だが、大学当局や政府筋は彼の行動を妨害した。大正一四年。ソヴェト労組代表が来日し、これを機会に政府は多くの自由主義的な学生や労勧者を検束した。宣治も同志社を追放され、労働党の運動に加わった。佐山村農民組合争議の惨状を目のあたりにして、彼は自分の生物学者としての考えかたを世に徹底させるためには、まず政治を改めねばならぬのを知った。妻千代や三人の息子は彼のよさ理解者であった。生家である料亭花屋敷を経営する父亀松、母多年も、考えかたこそ異れ、息子を信頼していた。佐山村争議で宣治は小作人さき・清母子や共産党員本田、彼に好意をよせる娘のぶなどを知った。やがて金融恐慌がやってきて、支配階級は侵略戦争を起した。昭和三年、普選に労働党から立候補した宣治は、苦しい選挙干渉と弾圧をしりぞけて代議士に当選した。三月一五日の全国的労農階級弾圧一斉検挙を迎えて、宣治は断固支配階級とたたかった。が、彼の身体は激しい日々の連続によって病魔におかされていた。政府は治安維持法をさらに改悪しようとした。宣治は一人、本会議場でこれの反対演説をおこなう決心をした。しかしその日を目前にひかえた夜、彼は神田の光来館で右翼の兇刃に倒れた。日本の暗い時代はますます重くるしく、ひろがっていこうとしていた。--昭和四年のその日から年月が経て、侵略戦争は敗戦によって終止符をうった。はじめて赤旗に囲まれ、おこなわれた山宣の命日に、改めて人々は彼の姿を胸によるがえらせるのだった。
「武器なき斗い(1960)」の解説
西口克己の「山宣」の映画化で、治安維持法に反対して兇刃に倒れた山宣の生涯を描いたもの。依田義賢と山形雄策が共同で脚色し、「人間の壁」のコンビ山本薩夫が監督し、前田実が撮影した。総評が中心になって「山宣」映画化実行委員会が誕生、勤労者らのカンパで作られた。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:山本薩夫
原作:西口克己 出演:下元勉 渡辺美佐子 徳田和雄 西川優 谷昌和 根本静枝 小谷悦子 東野英治郎 細川ちか子 中谷一郎 谷育子 小沢昭一 岸輝子 毛利菊枝 浜田寅彦 宇野重吉 山本学 大町文夫 福原秀雄 斎藤美和 山村弘三 山内明 中村俊一 信欣三 清水優夫 矢野宣 河原崎長十郎 小沢栄太郎 松本克平 田中邦衛 三島雅夫 多々良純 利根はる恵 南原宏治 宮口精二 永井昌雄 市川男女之助 下村重子 |
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制作国 | 日本(1960) |
上映時間 | 141分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2018-11-12
前に山本宣治所縁の宇治川に在る生家「花屋敷」界隈やお墓等を友人等と訪ねた事が有った…。山宣一人孤塁を守り大衆に支持され愛された、自由と民主主義に奮戦した、彼の姿を余す処無く画く感動篇何だねえ!