夜の片鱗 作品情報
よるのへんりん
野上芳江は十九歳。彼女はレコード会社の下請け工場で働くかたわら、夜は知り合いのマダム佳代から頼まれ、バーのホステスをしていた。北見英次は、芳江が働くバーのなじみ客だったが、二度、三度と会う瀬を重ねるうち急速に親しくなっていった。ある夜芳江は誘われるままにホテルにいき、英次に身体を許した。それからの芳江はしだいに、英次との情事におぼれ、両親に無断で英次とアパートで同棲するようになった。しかし、そんなころから英次の態度が変り、たびたび芳江に金を無心するようになった。世話女房を気どる芳江だが、さすがに金が続かなかった。そんなとき英次は自らの正体を暴露した。英次はそこの盛り場を支配するヤクザだったのだ。英次は金のために芳江に売春を迫った。芳江はヤクザに対する恐怖と、いき場のない孤独からいわれるままに客をとった。が、英次はさらに芳江に街に出て客をとることを強いた。さすがにたえられなくなった芳江は、英次の手をふりきってアパートを逃げだした。しかし数日後、芳江はその組のヤクザにつかまり残酷なリンチを受けた。事件後、芳江は放心したように夜毎街に出て客をとった。そんな客の一人に建築技師藤井がいた。藤井は熱心に芳江のもとにかよい、ある夜結婚を申しこんだ。そんなおりもおり、英次の組に縄張り争いが起り、英次は争いにまきこまれ、下腹部にひどい打撲を受けて男としての機能を失った。それからというもの、芳江と英次との間には、穏やかな愛情が芽ばえてきた。が、事情を知らない藤井は芳江に駈け落ちを迫った。だが無感動になれきった芳江には、それに応えることができなかった。が、ある日芳江の心に狂おしい激情が走り、英次を刺した。虚脱して立ちつくす芳江の脳裏に、英次と過した盛り場の灯がなつかしくよみがえった。
「夜の片鱗」の解説
太田経子の原作を「古都(1963)」でコンビの権藤利英が脚色、中村登が監督した風俗ドラマ。撮影もコンビの成島東一郎。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:中村登
原作:太田経子 出演:桑野みゆき 平幹二朗 園井啓介 岩本多代 富永美沙子 広村芳子 松原浩二 田中晋二 千石規子 河野秋武 中村美代子 呉恵美子 吉野憲司 永井秀明 菅原文太 木村功 東京ぼん太 高丘一二三 逗子とんぼ 佐藤芳秀 |
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配給 | 松竹 |
制作国 | 日本(1964) |
上映時間 | 106分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「PineWood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2017-02-06
シネマベーラ渋谷での愛と宿命の映画特集で千葉泰樹監督の(みれん)と併せて観ました。中村登監督の冴えた演出、桑野みゆきと平幹二朗のその息の合ったコンビネーション!!ヤクザな紐(ジゴロ)への究極の愛のメロドラマ♪トリュフォー監督のウイリアム・アイリッシュ原作の(暗くなるまでこの恋を)も連想させた。駄目男への母性愛が身の破滅へと…。(みれん)も又、二人の男の間で揺れ動く女心がいじましい!!