赤い殺意(1964) 作品情報
あかいさつい
強盗が押し入った夜、夫の吏一は出張中であった。恐怖におののく貞子を、殴打しスタンドのコードで縛りあげて、獣のようにせまって来る男に、貞子は半ば気を失って呻いた。明け方強盗は再び貞子を犯して去った。“死なねばならない”貞子は、土堤下を通る鉄路にふらふらと出てみたが子供勝への愛情はたち難かった。翌日出張から帰って来た夫に、何度かうちあけようとしたが、何も気づかない風の吏一の態度に、言葉をのんだ。東北大学の図書館に勤める吏一には、事務員義子と五年も肉体関係がある反面、家庭では吝嗇で、小心な夫であった。再び強盗が貞子の前に現れたのは、あれから二日後の夜だった。乱暴なふるまいのあと、「もうじき死ぬんだ、あんたに優しくしてもらいたいんだ」と哀願した。その夜吏一に抱かれながら、貞子は、家庭の平和を乱したくないと苦悶した。だが、デパートの特売場で、強盗に声をかけられた貞子を、義子が見てから、夫は、近所の学生英二との間を疑うようになった。二月の初め、妊娠に気づいた貞子に、強盗は“腹の子は俺のだ”と執拗にせまった。吏一の父清三の葬儀に行った貞子は、自分が妾腹だという理由で入籍されず、子供の勝が清三の子になっているのを知って愕然とした。数日後、強盗が合図の石を屋根に投げたのを聞いた夫が、英二のしわざと思いこみ嫉妬にかられて隣家に踏みこんだ。夫に疑われて追いつめられた貞子は、強盗に会いにいった。強盗は平岡というトランペット吹きで、心臓を病んでいた。よわよわしい彼の表情に負けて、またも温泉マークに入った貞子は、ついに平岡を殺そうと決意した。農薬をジュースに混入して殺すのだ。吏一の東京出張中、貞子と平岡は、汽車に乗ったが、途中不通となったため、吹雪の中を疲労にふらつく平岡を助ける貞子に義子が木影からカメラをむけていた。疲労の末貞子が手を下すまでもなく悶絶してゆく平岡を前に、貞子は、何か説明しがたい胸の痛みを感じた。そして義子も、カメラをもったまま車にはねられて死亡した。何ごともなかったような毎日が始まったが、貞子のうえには、女としての自覚と責任が、新しく芽ばえていた。
「赤い殺意(1964)」の解説
藤原審爾の原作を「にっぽん昆虫記」でコンビの長谷部慶治と今村昌平が共同で脚色「にっぽん昆虫記」の今村昌平が監督した社会ドラマ。撮影もコンビの姫田真佐久。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:今村昌平
原作:藤原審爾 出演:西村晃 春川ますみ 赤木蘭子 加藤嘉 北村和夫 橘田良江 北林谷栄 宮口精二 露口茂 楠侑子 近藤宏 山之辺潤一 北原文枝 加原武門 糸賀靖雄 小沢昭一 殿山泰司 井東柳晴 漆沢政子 久松洪介 三船好重 |
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配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1964) |
上映時間 | 150分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-08-08
作家・姫野カオルコが本篇に惚れ込んだ経緯,衝撃を随想の中で語って居るがモノクロームの今村昌平節のダイナミズムは忘れ難い!Filmセンターや名画座等で見た本作