女は夜霧に濡れている 作品情報

おんなはよぎりにぬれている

二年前、恋に破れて半ば自暴自棄の三奈子は舟木という男に助けられ、彼の二号になった。ある日、彼女は配達にきたデパートのアルバイト学生透の生真面目さを好ましく思った。設計技師志望の透に、後輩の女子学生ますみは心をよせている。三奈子が舟木と新しいホテルの設立予定地箱根へ行ったとき、今度の設計技師に紹介されたが、意外にも二年前、三奈子を捨ててアメリカへ留学した橋本であった。驚く三奈子に橋本は深く詑び、改めて求婚した。だが、三奈子は透の強い愛情を知り、二号の生活を清算した。彼女の親友でバーのマダム美子は橋本との結婚をすすめ、橋本も真剣に求婚しつづけた。しかし、三奈子の心の底には透の純真な面影が焼きついて離れない。透もまた心から三奈子を愛し、ますみのことを忘れ去った。そのことが三奈子にとって、かつての日の自分の悲しみをますみの上に見るような思いで、切なかった。まもなく、透が夢にまで憧れていたアメリカ招待学生の話がきまった。そのころ、透の友人の呉服屋に勤めて立ち直ろうと努力する三奈子に、透は故郷の母に逢ってくれとせがんだ。ある夜、アパートで三奈子を待っていたますみは、透の留学が崩れそうになっていること、その選考委員の中に橋本の名があることを告げた。透の実家は喜びに沸き立っていた。アメリカ留学と美しい嫁というこの上ない土産に、透の母はうれし涙にむせんだ。三奈子は自分のなすべきことを、ハッキリと自覚した。透を振りきるように帰京した三奈子は、橋本の腕に抱かれた。日本での最後の一夜を三奈子と送るつもりの透は、そこに変り果てた三奈子の姿を見た。「欺していたのよ。私の体が汚れているからよ。今夜だって、その男の所へ行くのよ」と、三奈子は涙をかくして冷たくいった。羽田空港で、三奈子は人かげから透を見送った。やがて、悄然と去って行く三奈子を濃い夜霧が包んだ。

「女は夜霧に濡れている」の解説

川内康範原作を、「この青年にご用心」の下飯坂菊馬と「北上夜曲 北上川の初恋」の井上芳夫が共同で脚色、井上芳夫が監督した悲恋メロドラマ。撮影は「強くなる男」の渡辺公夫。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督井上芳夫
原作川内康範
出演叶順子 藤巻潤 田宮二郎 江波杏子 安部徹 小牧洋子 宮川和子 岸田今日子 大辻伺郎 森矢雄二 仲村隆 原田玄 武江義雄 花布辰男 浦辺粂子 夏木章 竹里光子 飛田喜佐夫 中原健 山中和子 今井京子 長田健二 森一夫
配給 大映
制作国 日本(1962)
上映時間 89分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:52

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