二百三高地 作品情報
にひゃくさんこうち
十九世紀末。ロシアの南下政策は満州からさらに朝鮮にまで及び、朝鮮半島の支配権を目指す誕生間もない明治維新政府の意図と真っ向から衝突した。開戦か外交による妥協か、国内では激論がうずまいていた。軍事力、経済力ともに弱小な日本にとってロシアは敵にするには強大すぎた。しかし、幾度となく開かれる元老閣僚会議で、次第に開戦論がたかまっていくがロシアの強大さを熟知している伊藤博文は戦争回避を主張していた。巷でも、開戦論で民衆を煽動する壮士グループと、戦争反対を叫ぶ平民社とが対立。ある日、開戦論に興奮した民衆が平民社の若い女、佐知に殴りかかろうとしているところを、通りがかった小賀が救った。その頃、伊藤は参謀本部次長の児玉源太郎と会見、対露戦の勝算を問うていた。児玉は早いうちにロシアに打撃を与え、講和に持ち込むしか勝つ道はないと訴えた。明治三十七年二月四日、御前会議で明治天皇は開戦の決議に裁可を下した。ここに日露戦争の幕が切っておとされた。日本軍は陸と海で破竹の進撃を開始した。伊藤は前法相の金子堅太郎をよび、アメリカのルーズベルト大統領に講和の調停役を引き受けるように説得を要請する。そうしたなかでも、神田のニコライ堂ではロシア人司祭によるロシア語の講座が細々と続けられ、出席していた小賀は、そこで偶然にも佐知に出会った。思いがけぬ再会に、二人の間に愛が芽生えた。やがて、金沢の小学校教師である小賀も出征することになり、彼を慕って金沢までやって来た佐知と愛を確かめあう。小賀の小隊には、豆腐屋の九市、ヤクザの牛若、その他梅谷や米川たちがいた。戦況は次第に厳しさを増し、海軍はロシア東洋艦隊に手こずり、陸軍は新たに第三軍を編成、司令官に乃木希典を命じた。旅順の陥落が乃木にかせられた任務だったが、ロシアはここに世界一という大要塞を築いていた。ロシア軍の機関銃の前に、日本軍は屍体の山を築いていく。絶望的な戦いの中で、小賀と部下たちの間に人間的な絆が生まれていった。しかし、戦いで部下を失った小賀の胸には戦争への怒りと、ロシア人への憎しみが燃えあがっていた。十一月二十七日、司令部は二百三高地攻撃を決定した。その日、小賀は捕虜の通訳を命じられたが、「兵には国家も司令官もない、焦熱地獄に焼かれてゆく苦痛があるだけ」と拒否、その言葉は激しく乃木の胸を打った。十二月六日、乃木に代って指揮をとった児玉のもと、二百三高地攻撃が開始された。戦闘は激烈を極め、乃木は鬼と化していた。そして、三一五〇名の戦死者と、六八五〇名の負傷者という尊い犠牲を払い、二百三高地はおちた。しかし、小賀たちの一隊は、ロシアの少年兵との激闘の末、戦死してしまう。一ヵ月後、旅順は陥落、これが翌三十八年三月の奉天大会戦の勝利、さらには日本海大海戦の勝利へとつながった。翌三十九年一月十四日、乃木は天皇はじめ皇族、元老が居ならぶ前で軍状報告を行なったが、復命書を読み進むうちに、小賀や多くの兵のことが心をよぎり、落涙を禁じえなかった。
「二百三高地」の解説
今世紀初頭、近代化したとは言え、列強諸国に比べ遅れをとる日本が、超大国ロシアに何故戦争を挑んだのか。そして、その戦争を背景に、政府、軍、民間といった様々な階級の人々がいかに生きたかを描く。脚本は「仁義なき戦い」シリーズの笠原和夫、監督は「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士」の舛田利雄、撮影は「トラック野郎 突撃一番星」の飯村雅彦がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1980年8月2日 |
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キャスト |
監督:舛田利雄
出演:仲代達矢 あおい輝彦 新沼謙治 湯原昌幸 佐藤允 永島敏行 長谷川明男 稲葉義男 新克利 矢吹二朗 船戸順 浜田寅彦 近藤宏 伊沢一郎 玉川伊佐男 名和宏 横森久 武藤章生 浜田晃 三南道郎 北村晃一 木村四郎 中田博久 南廣 河原崎次郎 市川好朗 山田光一 磯村建治 相馬剛三 高月忠 亀山達也 清水照夫 桐原信介 原田力 久地明 秋山敏 金子吉延 森繁久彌 天知茂 神山繁 平田昭彦 若林豪 野口元夫 土山登士幸 川合伸旺 久遠利三 須藤健 吉原正皓 愛川欽也 夏目雅子 野際陽子 桑山正一 赤木春恵 原田清人 北林早苗 土方弘 小畠絹子 河合絃司 須賀良 丹波哲郎 石橋雅史 村井国夫 早川純一 尾形伸之介 青木義朗 三船敏郎 松尾嘉代 内藤武敏 |
配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1980) |
上映時間 | 185分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。
P.N.「たっちゃん」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2020-08-21
随分昔の映画というのが、出演者の顔触れで感じます。、殆どの役者さんが、亡くなっていて、亡くなっていないのは、仲代さん位でしょうか、夏目雅子さんなど、若き日に亡くなっています。昔は映画らしい映画がありましたが、今は、手軽に作れるアイドル的な映画が多いです。一回やった映画とはいえ、600の座席に対して、人は、10人位です。コロナの関係もあるでしょうが、ソーシャルディスタンスの必要も無い位です。寂しい限りです。映画は好きなのですが、矢張りコロナの事を考えると、腰がひけます。