あゝ野麦峠・新緑篇 作品情報
ああのむぎとうげしんりょくへん
大正八年五月。岡谷の金丸林組製糸工場から中谷タケが逃げた。しかしタケは捕まり、峠を一緒に越えた幼なじみの宮田常治の目の前で、見番をする今井丈吉に犯されてしまった。それはタケに想いを寄せていた常治を良心の呵責もない、冷血な人間に変えてしまった。近代化が進み、多条繰糸機の導入で腕のいい女工が必要になり、常治は他工場の優等工女を引き抜くことで出世を計った。彼は高倉製糸から生田朝子を自分と夫婦になる約束で引き抜いた。常治と朝子の仲はタケにとっては辛かった。自暴自棄となったタケは、丈吉の玩具になっていった。屈折した心の中で自分は身も根性も汚れてしまったと思った。常治に腕の立つ工女たちを引き抜かれた製糸会社のいやがらせで常治は重傷を負った。朝子は常治にまっとうな人間として一緒に生きてくれと懇願するが、常治の心は冷たく、そんな常治をみて、朝子は金丸林組製糸工場を去った。昭和二年三月。金融恐慌は製糸業界をも襲い、不況から脱却するために金丸製糸工場では競争意識をあおる報奨金制度、劣等工女を屈辱するような精神的懲罰を加えたりし、利益率を上げていった。タケは耐えきれなく、岡谷の町でカフェーの女給となるが、仲間の動向は見つめていた。成績の良くない工女が、辱めに耐えきれず自らの命を絶ったことから、工女たちは待遇改善の嘆願書を提出する。町中をデモ行進しストライキに入った工女たちを、会社側は官憲の力を利用してねじ伏せようとした。工女たちの団結を切りくずそうと奔走していた常治は、もみあいの中で重傷を負い、タケと朝子に見とられて息を引きとってしまう。争議は工女たちの敗北に終わるが、工女たちはそれぞれ新たな生き方を求めて岡谷を去り、力強い足取りで野麦峠を越えていった。
「あゝ野麦峠・新緑篇」の解説
大正末期から昭和初期にかけて、製糸工場で働く女工たちが過酷な労働の日々のなかから、女として、人間として目覚めていく姿を描く。脚本は「アッシイたちの街」の山内久、監督は前作と同様の山本薩夫、撮影は「夢・夢のあと」の小林節雄がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1982年2月16日 |
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キャスト |
監督:山本薩夫
原作:山本茂実 出演:三原順子 中井貴恵 岡田奈々 石田えり 江藤潤 宮崎達也 なべおさみ 影山仁美 橋本晶子 岡本プク 井上夏葉 伊藤公子 松村和美 江川眞理子 宇田川智子 斉藤ゆかり 難波香織 神山繁 武内文平 高城淳一 伊藤敏孝 樋浦勉 木村夏江 下絛正巳 浅利香津代 風間杜夫 原康義 辻萬長 奥村公延 石田富子 小笠原慶子 |
配給 | 東宝 |
制作国 | 日本(1982) |
上映時間 | 136分 |
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