シリウスの伝説 作品情報

しりうすのでんせつ

火の神テミスと水の神グラウコスは仲の良い姉弟だった。二人の仲を嫉妬した風の神アルゴンが悪い噂を流し、姉は陸へ、弟は海へ別れてしまった。発端はここにあった。火の子マルタ、水の子シリウスが出会った。磁極に吸いよせられるように見つめ合う二人は、恋に陥ちた。シリウスを見守るモワルやマルタにつきっきりのピアレに不吉な予感が走った。二人は会ってはいけない国の子だ。二人の愛を実らせるには、九十年に一度訪れる日蝕の日にチャンスがあるという。その日はあと一週間後に迫っていた。しかし、二人の仲はテミス、グラウコスにも知られ、牢から脱出しようとしたシリウスは死んでしまう。シリウスの死をきっかけに、火と水は争いに終止符を打つのだった。

「シリウスの伝説」の解説

火と水を「ロミオとジュリエット」の対立する二家になぞらえ、それぞれの国の後継者になるべき火の国の娘と、水の世界の少年の悲しく美しい恋を描く。脚本は「愛獣 悪の華」の桂千穂と波多正美の共同執筆、監督も波多正美、撮影は八巻磐がそれぞれ担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1981年7月18日
キャスト 監督波多正美
原作辻信太郎
出演古谷徹 小山茉美 宇野重吉 榊原郁恵 潘恵子 鈴木ヒロミツ 内海賢二 武藤礼子
配給 日本ヘラルド
制作国 日本(1981)
上映時間 100分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2025-05-20

シリウスの伝説を観た。とても感動した。これは何よりも共感できるところがいっぱいあったからだ。愛するとは信じることじゃ。愛とは信じて疑わぬこと。たとえ裏切られても愛とはひたすら信じ続けることじゃ。それが幸せな愛じゃとな。リリカの岬の上で吐いた大海ガメ・モワルの言葉は今もなお私の心に焼きついて離れない。今もこの地球上で無数の男女が出会い、様々な恋愛が生まれていることだろう。だが信じて疑わぬ愛がはたしてどれほど成立しているか、いささか疑問である。ひたすら信じることは私たちにとって困難なことである。だがどんなに裏切られても、ひたすら信じることが愛の出発点であると私は思う。愛とは単なる遊びではなく、大変な努力を必要とする宗教的なものではなかろうか。神なき時代と言われて久しい。確かに現代は信じるものが見つけにくい時代である。だが人はいつも何かを信じていたいという熱い思いにかられる。私もまたそのひとりである。夏のさそり座の主星アンタレスの赤い輝きと対照的に青く白く輝くシリウス。これを見ていると、ひたすら燃え、果てしない苦しみや悲しみ、そして喜びを秘めた恋を思い起こし、胸が熱くなる。ほんとに素晴らしい作品だと思う。

最終更新日:2025-05-29 16:00:01

広告を非表示にするには