こうのとり、たちずさんで 作品情報

こうのとりたちずさんで

テレビレポーターのアレクサンドロス(グレゴリー・カー)は、ヴェトナム難民たちがギリシャ船に救われながら政府に入国を拒否されたために冬の海に身を投げたという事件が忘れられず、クルーとともに3国と接する北ギリシャの国境地帯に取材にやって来た。案内してくれた大佐(イリアス・ロゴテティス)は国境線の前に、飛び立つ寸前のこうのとりのように片足で立ちながら、呟く。「一歩含み出せば異国か、死か、それが国境だ」。町では国境を越えて保護を求めてきた老若男女の難民が定住許可を待ってかりそめに居住しており、彼らは電線を修復する仕事を行っていた。市場でアレクサンドロスは10年ほど前に失踪し行方不明になっているはずの政治家(マルチェロ・マストロヤンニ)を見つける。彼はこの〈男〉とその夫人(ジャンヌ・モロー)を対面させ、その様子をカメラに収めようとする。〈男〉の周辺を取材し続けるアレクサンドロスは、ある夜、ホテルのバーで身じろぎもせず自分を見つめている〈少女〉(ドーラ・クリシクー)に気づき、運命的に愛を交わした。彼は彼女と再びカフェで出会い、後を追って共同住宅の一室に入ると、電線工事の仕事から帰ってきた〈少女〉の父が取材中の〈男〉だったので驚く。カフェでクルド人同士が争いとなり、私刑で殺された男がクレーンで空中高く首を吊られるという悲惨な事件のあった日、〈男〉の妻が町に到着し、翌朝〈男〉と出会う。彼女の横顔に涙がにじむが、夫人はカメラに顔を向け「彼じゃない」と言って歩み去る。アレクサンドロスが夫人から預かった、政治家が残していた電話テープの声を〈男〉に聞かせると、〈男〉はテープの続きを静かに語り出す。やがて町は集会の前祝いで沸き返りだした。アルバニアから村の半分の人々が難民として越境して来たために、河を隔てて年に一度お互いの無事を確かめ合おうという儀式で、おまけに今年は結婚式も重なっていた。その結婚式の花嫁こそ、あの〈少女〉であった。翌日の結婚式をアレクサンドロスは取材クルーとともに見守るが、式も終わりになろうという頃、遠くから聞こえる銃声で人々はちりぢりになる。そのさなかに〈男〉はまた行方不明になった。「僕は見たよ。国境を越えて見えなくなった」と言う少年の声を聞きながら、アレクサンドロスはふと顔をあげると、電柱を上っていく電線工事の黄色い人々の姿が目についた。弦の切れた天のハープのようにたわむ電線をぴんと張るその姿は、まるで空に向かって飛び立とうとするこうのとりのようであった。

「こうのとり、たちずさんで」の解説

番組作りのために国境近くの村にやって来たテレビレポーターを通して、難民や国境の問題を描くドラマ。監督・製作・脚本は「霧の中の風景」のテオ・アンゲロプロス、共同製作はブリュノ・ペズリー、共同脚本はトニーノ・グエッラとペトロス・マルカリス、撮影はヨルゴス・アルヴァニティスとアンドレアス・シナノス、音楽はエレニ・カラインドロウが担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1992年9月19日
キャスト 監督テオ・アンゲロプロス
脚本テオ・アンゲロプロス トニーノ・グエッラ ペトロス・マルカリス
出演マルチェロ・マストロヤンニ ジャンヌ・モロー グレゴリー・カー イリアス・ロゴテティス ドーラ・クリシクー ヴァシリス・ブユクラーキス ディミトリス・プリカコス ナディア・ムルージ ゲラシモス・スキアダレシス イルマズ・ハッサン トドロス・アテリディス コンスタンティノ・ラゴス
配給 フランス映画社
制作国 ギリシャ フランス スイス イタリア(1991)
上映時間 143分

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最終更新日:2026-07-11 02:01:29

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