P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-09
第二次世界大戦は、さまざまな映画となって描かれてきましたが、この「禁じられた遊び」ほど、戦闘そのものをほとんど扱わないで、”戦争の悲劇”を描き切った映画を他に知りません。
ルネ・クレマン監督は「鉄路の戦い」や「海の牙」など、戦争の実態を透徹したリアリズムで描いてきましたが、この作品ではフランスの農村の人々の生活の中に”戦争の悲劇”を浮かび上がらせていると思います。
機銃掃射で両親を失い、避難民の群からもはぐれた少女ポーレットが、農家の少年ミシェルに助けられ、この二人の目を通して大人たちの世界、戦争の時代が描かれます。
ナルシソ・イエペスの哀愁を帯びたギターの旋律とともに、ポーレットが「ミシェル、ミシェル」とつぶやく言葉が、いつまでも私の脳裏から離れません。