黒衣の花嫁 作品情報

こくいのはなよめ

コート・ダジュールのアパートで独身生活を楽しんでいるブリス(C・リッシュ)のもとに見知らぬ、美しい女が訪れた。折からパーティが開かれていて、出席していた、ブリスの親友コリー(J・C・ブリアリ)は、彼女から鮮烈な印象をうけた。女はブリスを誘ってテラスに出た。その直後、ブリスはテラスから墜死し、女は姿を消した。そこからほど遠くない市に、銀行員コラルがいた。ある日、コラルのもとに音楽会の切符が届けられた。独身者のコラルは心をはずませて出かけた。音楽会の桟敷には、美しい女が待っていた。そして彼女は、翌晩コラルのアパートを訪れる約束した。約束どおり女は、コラルの好物である酒をみやげに、アパートにあらわれた。が、酒には青酸カリが仕込まれていた。床を這うコラルを残して、女は立ち去った。次に女は若手政治家モランの家に、モランの息子の幼稚園の先生と名のり、夫人が留守で困っているだろうから、子供の世話をしにきたといってあらわれた。夫人は母危篤の電報で旅発っていた。子供をベッドにねかしたあと、女は、指環を落したといい、モランは階段下の物置に入って捜した。その時、不意に物置の扉がしまり、隙間はセロテープで目張りされた。「なぜ?」モランの質問に女は答えた。女=ジュリー(J・モロー)は、子供の時から愛し合っていたダビッドと結婚式をあげたが、教会の玄関を出た時、ダビットは一発の銃弾に倒れた。ジュリーの心はこの時から死んでしまったのだった。モランは思いだした。いつか、ブリス、コラル、フェルグス、ダルローら五人の狩猟仲間と、ふざけて教会の風見の鶏を射とうとして……。だが、僕じゃない。モランはさけんだ。が呼吸は次第に苦しくなっていった。翌日、モランは死体となって発見された。次にジュリーは、ダルローの前にあらわれた。がここで意外なことが起った。パトカーでダルローは逮捕されたのだった。画家のフェルグスの前にジュリーは、モデルとしてあらわれた。彼はジュリーをモデルにダイアナを描きはじめたが、次第に彼女にひきつけられた。そんなある日、アトリエを訪れた友人たちの中にコリーがいた。コリーは、どこかでジュリーを見たことがあると思い、それがブリスやモランであることに気づいたのは、ジュリーがダイアナの矢でフェルグスを殺害した後だった。ジュリーは捕えられた。監獄に入り、給食係となったジュリーは、残る一人で引金をひいた張本人ダルローを、独房の中で、刺殺した。

「黒衣の花嫁」の解説

コーネル・ウーリッチの同名小説を、「華氏451」のフランンワ・トリュフォーとジャン・ルイ・リシャールのコンビが脚色し、フランソワ・トリュフォーが監督した、サスペンス・ミステリー。撮影は「軽蔑」のラウール・クタール、音楽はベルナール・エルマンが担当、衣裳にピエール・カルダンがあたっている。出演は「マドモアゼル」のジャンヌ・モロー、「スエーデンの城」のジャン・クロード・ブリアリ、「盗みのテクニック」のクロード・リッシュ、ミシェル・ブーケ、ダニエル・ブーランジェなど。製作はオスカー・リュウエンスティン。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督フランソワ・トリュフォー
原作コーネル・ウーリッチ
出演ジャンヌ・モロー ジャン・クロード・ブリアリ ミシェル・ブーケ シャルル・デネール クロード・リッシュ ダニエル・ブーランジェ ミシェル・ロンダール Serge Rousseau Jacques Robiolles アレクサンドラ・スチュワルト
配給 ユナイト
制作国 フランス イタリア(1968)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-23

小説の場合には倒叙型、つまり犯人の側から事件を書くスタイルは、むしろ例外なのだが、映画にはこの倒叙型が多いと思う。
映画は謎解きの理屈ではなく、実際の行動の描写だから、犯行を追う方が、余程、作りやすいし、良い映画になると思う。
このフランソワ・トリュフォー監督が、敬愛するアルフレッド・ヒッチコック監督へオマージュを捧げた「黒衣の花嫁」は、この倒叙型の典型的な映画で、観る者は連続殺人の犯人が、ジャンヌ・モローであることを初めから知っている。
むしろ謎は、なぜ彼女がかくもゆるぎなき意思を持って、次々に殺人を行なうかという、動機の方にある。

最終更新日:2024-08-02 16:00:02

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