二十歳の恋 作品情報
はたちのこい
〔パリ〕わびしい下宿ずまいをするアントワーヌ(ジャン・ピエール・レオー)はよくコンサートを聴きにいった。ある夜、コンサートで美しいコレット(マリー・フランス・ピジェ)にあった。それ以来、二人は何度かのデートをした。やがて彼はコレットの家の向いの建物にひき移り、彼女の両親とも親しくなった。ある夜、彼は、コレットの“友達”という青年に紹介された。やはりアントワーヌは彼女の友達のひとりでしかなかったのだ。 〔ローマ〕クリスティーナはレオナルド(ジェロニモ・メニエル)と結ばれた喜びに泣いていた。だが、クリスティーナはバレンチナ(エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ)のことを考えていた。その夜彼はバレンチナに別れを言いに出かけていった。だが彼女はこの男が若い娘を愛しはじめたことを知っていた。その夜ふけ、クリスティーナは電話で外に呼びだされた。見知らぬ女はこう言った。「レオナルドは私の親密な友達よ……」 〔東京〕工員の浩(古畑弘二)の心には秘めたひとつの美しい面影があった。工場への行きかえりに会う女子高校生(田村奈巳)である。ある日、彼は一心にナイフを作っていた。このナイフこそ彼の恋を成就させるただひとつのものだ。翌日の晩、彼は彼女にとびかかった。いまこそ彼女は自分のものだ。事件が迷宮入りを伝えられるある日、彼は新間社に電話した。「三宅文子を殺したのはおれだ……」 〔ミュンヘン〕報道カメラマンとして各地をとび歩いていたトニオ(クリスチャン・デルマー)はひさしぶりで故郷へ帰ってきた。子供の父親として届出をするためであった。彼は病院のウルズラ(バーバラ・フレイ)を訪ね公園に出かけた。だが二人はしっくりといかなかった。その夜、トニオはふたたび病院を訪ねたが会えなかった。伝言をたのんで駅へ。彼はパリへ出発するのだ。発車直前、ウルズラが駅にかけこんできた。もう言葉は必要なかった。恋愛、結婚、出産。世間一般の順を二人は逆にふむだけのことなのだ……。 〔ワルシャワ〕パーシャ(バーバラ・ラス)はウワデックと動物園でデートをしていた。そんな時熊のおりに少女がおち、いあわせる人たちはうろたえるばかり。その時一人の男が身をおどらせ少女を無事救出。パーシャはデートの相手をみむきもせず、その男ズビシェック(ズビグニエフ・チブルスキー)にかけよった。彼女はアパートに彼をまねいた。だが二人だけの空気は、事件の噂をきいてやってきた仲間たちによって破られた。たちまちパーティーがはじまった。だが、戦争中苦しい青春を送った彼には、ただナチの恐ろしい幻覚におそわれるだけだった。夜ふけ、みじめな思いをかみしめながら彼はアパートを出た。
「二十歳の恋」の解説
パリ、ローマ、東京、ミュンヘン、ワルシャワの五つの都市における青春と恋を追求したオムニバス映画。 フランスは「大人は判ってくれない」のフランソワ・トリュフォーが脚本・監督を担当し、「女は女である」のラウール・クタールが撮影した。出演者は「並木道」のジャン・ピエール・レオー、新人マリー・フランス・ピジェ、フランソワ・ダルボンなど。なおこの映画はカンヌ映画祭監督賞を受賞。 イタリアはロベルト・ロッセリーニの息子レンツォが脚本・監督した。撮影は「ローマの恋」のマリオ・モントゥオーリ。出演者は「女の部屋」のエレオノーラ・ロッシ・ドラゴ、クリスティーナ・ガヨーニ、新人ジェロニモ・メニエルなど。 日本は作家の石原慎太郎が脚本と監督を担当。出演者は劇団“四季”出身の古畑弘二、東宝の田村奈巳、小池朝雄、横山道代など。音楽は武満徹。 ドイツは故マックス・オフュールスの息子マルセル・オフュールが脚本を書き演出した。撮影はウォルフガンク・ウィルト。出演者は新人バーバラ・フレイ、クリスチャン・デルマーなど。 ポーランドは「鉄十字軍」のイェジー・ステファン・スタウィニュスキーの脚本を「灰とダイヤモンド」のアンジェイ・ワイダが監督した。撮影は「暴力への回答」のイェジー・リップマン。音楽はイェジー・マトゥシュキヴィチ。出演者は「夜行列車」のズビグニエフ・チブルスキー、「生きる歓び」のバーバラ・ラス、ヴワディスワフ・コワルスキーなど。総製作はピエール・ルスタンである。黒白・ディアリスコープ。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:フランソワ・トリュフォー
レンツォ・ロッセリーニ
石原慎太郎
マルセル・オフュール
アンジェイ・ワイダ
出演:ジャン・ピエール・レオ マリー・フランス・ピジェ フランソワ・ダルボン エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ クリスティーナ・ガヨーニ ジェロニモ・メニエル 古畑弘二 田村奈巳 横山道代 小池朝雄 バーバラ・フレイ クリスチャン・デルマー ヴェラ・チェコヴァ バーバラ・ラス ズビグニエフ・チブルスキー ヴワディスワフ・コワルスキー |
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配給 | 東和 |
制作国 | フランス イタリア 日本 ドイツ ポーランド(1962) |
上映時間 | 120分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「PineWood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2017-06-22
ソフィー・マルソー主演の<ラ-ブーム>を視ていたら其の初々しさや作品の持つリリシズムからフランソワ・トリュフォー監督の本編や<あこがれ><トリュフォーの思春期>の事が脳裏に浮かんだ…。どんな時期でも恋愛は一筋縄ではいかないが、父の浮気騒動と初恋成就迄の展開がソフィーの大人への成長譚となっていた。トリュフォー監督の一連のアントワーヌ-ドワネルもの、ジャン-ピエール-レオ少年が演じる作品もそんなホームドラマの延長にあったー。