雨のしのび逢い(1960) 作品情報

あめのしのびあい

ブレーはフランス西海岸のひっそりした田舎町である。そこの製鉄所長の妻アンヌ(ジャンヌ・モロー)は、ピアノ教師の家で、窓の外に突然女の悲鳴を聞いた。同じ建物の一階のカフェからだった。アンナは異様な光景を見た。悲鳴の主はすでに息たえて横たわり、その上に男がかがみこんで愛撫をくりかえしているのである。アンヌにとって、これは大きなショックであった。その夜、あの不思議な殺人者が、警官に腕をとられながら、床上の倒れた女にそそいでいた燃えるような視線が、彼女の脳裏を離れなかった。結婚以来八年、アンナはこの町に住んでいる。何一つ不自由のない、名流夫人である。しかし、彼女の夫には、あの殺人者の激しい情熱はなかった。相手を殺すほどの愛情、この世にそんな強い愛があったとは--。彼女の心は大きく揺れ動いた。翌日、彼女は一人の男から話しかけられた。鉄工所の工員ショーバン(ジャン・ポール・ベルモンド)で、会話は当然のことのように昨日の事件に向けられた。が、それは推測でしかない。二人はそれから毎日のように会い、愛し合う仲となった。七日目、ショーバンは「君は死んだ方がいい」といい残して去った。激しい愛の言葉と知りながらも、消えて行く男を見送って、アンナは号泣した。事件の女の悲鳴にも似たうつろな叫び声をあげて。彼女は、人妻であり、母であることに変りはない。だが、彼女の心の中の何ものかは、ショーバンへの愛と共に死んだのだ。翌日から、アンヌの人妻にふさわしい毎日がふたたびはじまる。夫はこれからのちも、ひと言も彼女を責めないだろう。ブレーの町には、大した事件は起らないのだ。

「雨のしのび逢い(1960)」の解説

「二十四時間の情事」のシナリオを書いたマルグリット・デュラス女史の小説を映画化した心理ドラマ。シナリオをデュラ女史自身とジェラール・ジャルロが共同で執筆し、監督に当ったのはイギリス映画界出の「三文オペラ」を作ったピーター・ブルック。カメラを受けもったのはアルマン・ティラール。音楽はディアベリのソナチネの中の“モデラート・カンタービレ”の部分が反復して使用されている。出演するのは「危険な関係」のジャンヌ・モロー、「ふたりの女(1960)」のジャン・ポール・ベルモンドなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督ピーター・ブルック
原作マルグリット・デュラス
出演ジャンヌ・モロー ジャン・ポール・ベルモンド ディディエ・オードパン Valeric Dobuzinsky Colette Regis パスカル・ド・ボワッソン
配給 東和
制作国 フランス(1961)

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最終更新日:2022-07-26 11:03:58

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