いとこ同志 作品情報

いとこどうし

二十三歳のシャルル(ジェラール・ブラン)は法学士の試験を受けるためにパリにやってきて、同じ年のいとこポール(ジャン・クロード・ブリアリ)の豪華なアパートに同居した。田舎ぐらしのシャルルと、何不自由ない都会生活を送るポール、生活環境の相違は二人の青年の性格をまるで別なものにしていた。旅のもようを母親に書き送る純真なシャルル、彼の子を宿したと泣きこんできた女を、仲間のクロビスに金をやって始末させるポール……。二人の共同生活は両極端だった。シャルルは受験勉強に励み、ポールはアパートに仲間を呼んで酒と恋愛遊戯にふけった。ある日、シャルルはポールに連れられて学生クラブに行き、そこで初めて会ったフロランス(ジュリエット・メニエル)の美しい瞳に魅せられてしまった。何度かの男との交渉をもっている彼女であっても、彼には問題ではなかった。パーティの夜、彼はフロランスに愛をうちあけた。シャルルの不器用だが、真剣な態度に、フロランスも彼を愛すようになった。しかし、破綻は意外に早くやってきた。二人の逢引きの日、フロランスは時間を間違えてアパートにやってきた。そこにはポールだけがいた。彼は彼女のシャルルへの純粋な愛情を聞いてあざわらった。そこにきたクロビスは彼女をそそのかした。彼女はポールに身をまかせた。ポールは彼女と同棲し、シャルルの眼の前で二人の嬌態をみせつけた。シャルルは一切の雑念を払いのけて勉学に励んだ。ポールの試験はシャルルより一日前で、勉強もしない要領居士の彼はみごとに合格した。ポールは彼女と別れた。シャルルは彼女の誘惑をしりそけ最後の仕上げにつとめた。が、彼は落ちてしまった。落胆したシャルルは町をさまよい、レストランでクロビスとむつまじげに語るフロランスをみつけ、よりいっそう絶望的になった。学生証を河に投げ棄て、アパートに帰った。壁のピストルをとり、一発の弾丸をこめた。弾倉を回転させ、寝ているポールの頭にむけた。引金をひいた。弾丸は出なかった。翌朝、ポールはシャルルの不合格をなんとかなぐさめようとした。彼はふとそこにあったピストルをとりあげ、シャルルにむけた。“撃つな”叫び声の終らぬうちに、弾丸はシャルルの胸を射抜いた。呆然とするポール、誰かが押すドアの呼鈴の音が激しく鳴っていた。

「いとこ同志」の解説

田舎から受験のために上京した純情な青年と、都会育ちの青年を主人公に、恋愛をめぐって傷つきやすい青年期の心理を描いたドラマ。脚本・監督ともにフランス映画界の新進クロード・シャブロル。撮影は「恋人たち」のアンリ・ドカエ、音楽はポール・ミスラキが担当。出演は「殺意の瞬間(1956)」のジェラール・ブラン、新人ジャン・クロード・ブリアリ、映画初出演のジュリエット・メニエル、クロード・セルヴァル、ミシェル・メリッツ等。製作クロード・シャブロル。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督クロード・シャブロル
出演ジェラール・ブラン ジャン・クロード・ブリアリ ジュリエット・メニエル クロード・セルヴァル ジュヌヴィエーヴ・クルーニー ミシェル・メリッツ コラド・ グァルドゥッチ ギイ・ドコンブル
配給 東和
制作国 フランス(1959)

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-06-29

そして,二人とも奔放でバンカラな大学生何だ…,純情と大人びた感情が入り交じりF・フェリーニ監督作品「甘い生活」見たいなデカダンスなモラトリアム生活も衝撃的な展開を孕んで暗然とした幕切れとなる!

最終更新日:2024-11-06 17:05:40

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