P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-03
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
残された時間はわずか数時間。この時間内に爆弾7個を処理しなければならず、刻一刻と迫りくる危機に挑む爆薬処理班の男たち。
偉大なる職人監督、リチャード・レスター監督の、スリリングに緊張感を盛り上げていく演出が見事です。
ファロン中佐は、爆弾が仕掛けられた緑色のドラム缶に立ち向かいます。
自分で自分を励ましながら、静かにネジを回し、線を切り、慎重に爆弾の解体作業にとりかかるのです。
その後の、この爆弾処理を扱った映画のお約束事となった、残された2本の線のどちらか1本を切れば解除、間違えば爆発という、映画好きにとっては伝説となった有名な場面も登場して来ます。
この緊迫した場面は、リチャード・ハリスの張りつめた演技が緊張感をみなぎらせ、息づまるような迫力の盛り上がりを見せてくれます。
このファロン中佐は、一見するとタフで豪放な人物のようで、1,200人の生命を守るために才智と勇気をかけて爆弾に挑戦したわけですが、心の底では彼自身も恐怖を感じていたというのがわかります。
というのは、この映画のラスト近くで、彼は海軍省対策本部に接続されているスピーカーを通して、真犯人に向って、「俺は君より若いし、爆薬処理も下手だ。俺は怖い」と、つぶやくのです。 このように、ファロン中佐をありきたりのスーパーマン型のヒーローにせず、あくまでも、普通の生身の人間として描き、恐怖心を抱きながら危険な作業に取り組む彼の勇気を、クローズアップして描いたところが、この作品を面白くした要因のひとつだと思います。