華麗なる大泥棒 作品情報
かれいなるおおどろぼう
底冷えのする冬の日曜の日暮時、三人の男と一人の女が町はずれの豪邸に車を乗りつけた。ラルフ(R・オッセン)とレンジー(R・サルバトーリ)が門番を縛り上げ、ボスのアザド(J・P・ベルモンド)はアタッシュ・ケースを携えて邸内に入りこんだ。金庫の前までくるとアザドはケースを開いた。ケースには精巧な装置がセットされ、自動的に鍵を刻み込んでいく仕掛けになっていた。その時、門前に停車してあった車を不審げに見ていたのはザカリア刑事(O・シャリフ)だった。何食わぬ顔で車まで戻ったアザドに刑事はそれ以上の詮索を加えず立ち去った。再び金庫に向ったアザドは見事に金庫を開けた。彼は多額の紙幣に目もくれず、奥から皮のケースを取り出した。中には大つぶのエメラルド36個が燦然と輝いていた。月曜日の早朝港に向った四人は彼等の逃亡用の船がドック入りのため、四日間別行動を取って身を潜めねばならなくなった。レンジーとラルフは港の倉庫に、エレーヌ(N・カルファン)は近くの島のホテルに身を隠した。そして一人で車を走らせるアザドに、しかしザカリア刑事の車がピッタリと後を尾けていた。凄まじい追跡で袋小路に追いつめた刑事だが、すでにエメラルドは失せていた。火曜の午後、倉庫に戻ったラルフとレンジをザカリアが襲い、レンジは射殺され、ラルフは重傷を負った。ザカリアはアザドの滞在するホテルを包囲、攻撃をかけた。しかし、やっとのことで急場を免れたアザドは、その足で、ホテルで知りあったレナ(D・キャノン)を訪ねたが、彼女がザカリアの情婦であることを知ると、彼女を殴り倒して夜の町へ飛び出した。ところが、カフェにいたアザドの前にザカリア刑事が立ちふさがり、万事は休した。身の安全を約すからエメラルドを渡せというのだ。木曜の朝、目的の船に乗りこんだラルフとエレーヌをおいて、アザドはザカリアを穀物倉庫に案内した。巨大な小麦集積機の一番上に登ったアザドは、ハンドル・ボックスに隠してあったエメラルドを取り出し、いきなりザカリアめがけて投げつけた。応戦するザカリアに、突然アザドはレバーを引くと、小麦がどっとザカリアを襲い、ザカリアの身体はみるみる埋まってしまった。クレーンでゆうゆうと船に乗り移ったアザドは出航していく船の中で一人笑みを浮べていた。
「華麗なる大泥棒」の解説
三億フランのエメラルドをめぐって展開するサスペンスアクション。製作・監督は「地下室のメロディー」「シシリアン」のアンリ・ヴェルヌイユ、脚本はヴェルヌイユとヴァエ・カッチャの共同、原作はデイヴィッド・グーディス、撮影はクロード・ルノワール、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はピエール・ジレットが各々担当。出演はジャン・ポール・ベルモンド、オマー・シャリフ、ダイアン・キャノン、ロベール・オッセン、レナート・サルヴァトーリ、ニコール・カルファンなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1971年12月18日 |
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キャスト |
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:デイヴィッド・グーディス 出演:ジャン・ポール・ベルモンド オマー・シャリフ ダイアン・キャノン ロベール・オッセン レナート・サルヴァトーリ ニコール・カルファン |
配給 | コロムビア |
制作国 | フランス(1971) |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、3件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-07-22
かつてフランス映画界で、アラン・ドロンと人気を分け合ったジャン=ポール・ベルモンド主演、「地下室のメロディー」「シシリアン」の職人監督アンリ・ヴェルヌイユ監督の「華麗なる大泥棒」。
ジャン=ポール・ベルモンドがロベール・オッセン、レナート・サルヴァトーリ、恋人のニコール・カルファンと四人グループで、ある邸宅に忍び込み、透視テレビ付き携帯コンピュータという新兵器で、精巧な大金庫を開け、三億フラン相当のエメラルドを盗み出す場面がひとつの見せ場だが、続いてそのエメラルドを狙う腹黒い警部のオマー・シャリフに食い下がられるのが、興味の焦点になってくる。
舞台は地中海の観光都市で、断崖沿いの道でぶつかり合ったり、長い石段を逆落としに走り下りたり、追われるベルモンドと追うシャリフの猛スピードの曲芸的なカーチェイスが、ユーモアたっぷりに見せてくれる。
そして、バスに飛び乗って逃げるアクロバット的な場面や、ダンプの荷台に隠れて逃げたベルモンドが、断崖の上に運ばれ、砂利と一緒にぶちまけられて、急斜面をころげ落ちていく場面なども大いに楽しめる。