ひまわり(1970) 作品情報
ひまわり
貧しいお針子のジョバンナ(S・ローレン)と電気技師のアントニオ(M・マストロヤンニ)は、ベスビアス火山をあおぐ、美しいナポリの海岸で出逢い、恋におちた。だが、その二人の上に、第二次大戦の暗い影がおちはじめた。ナポリで結婚式をあげた二人は、新婚旅行の計画を立てたが、アントニオの徴兵日まで、一四日間しか残されていなかった。思いあまった末、アントニオは精神病を装い、徴兵を逃れようとしたが、夢破ぶられ、そのために、酷寒のソ連戦線に送られてしまった。前線では、ソ連の厳寒の中で、イタリア兵が次々と倒れていった。アントニオも死の一歩手前までいったが、ソ連娘マーシャ(L・サベーリエワ)に助けられた。年月は過ぎ、一人イタリアに残され、アントニオの母(A・カレナ)と淋しく暮していたジョバンナのもとへ、夫の行方不明という、通知が届いた。これを信じきれない彼女は、最後にアントニオに会ったという復員兵(G・オノラト)の話を聞き、ソ連へ出かける決意を固めるのだった。異国の地モスクワにおりたった彼女は、おそってくる不安にもめげす、アントニオを探しつづけた。そして何日目かに、彼女は、モスクワ郊外の住宅地で、一人の清楚な女性に声をかけた。この女性こそ今はアントニオと結婚し、子供までもうけたマーシャであった。すべてを察したジョバンナは、引き裂かれるような衝撃を受けて、よろめく足どりのまま、ひとり駅へ向った。逃げるように汽車にとびのった彼女だったが、それを務めから戻ったアントニオが見てしまった。ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過したが、ある嵐の夜、アントニオから電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で、苦しみぬき、いまマーシャのはからいでイタリアにやってきたとのことだった。まよったあげく、二人はついに再会した。しかし、二人の感情のすれ違いは、どうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレ(G・ロンゴ)の話と、二人の間に出来た赤ん坊(C・ポンテイ・ジュニア)を見せられたアントニオは、別離の時が来たことを知るのだった。翌日、モスクワ行の汽車にのるアントニオを、ジョバンナは見送りに来た。万感の思いを胸に去って行く彼を見おくるこのホームは、何年か前に、やはり彼女が戦場へおもむく若き夫を見送った、そのホームだった。
「ひまわり(1970)」の解説
戦争という大きな運命の前に散っていった愛。制作指揮はジョゼフ・E・レヴィン、製作はカルロ・ポンティとアーサー・コーン、監督は「恋人たちの場所」のヴィットリオ・デ・シーカ。脚本はチェザーレ・ザヴァッティーニ、アントニオ・グエラ、ゲオルギ・ムディバニの共同執筆、撮影はジュゼッペ・ロトウンノ、音楽はヘンリー・マンシーニ、編集はアドリアーナ・ノヴェッリがそれぞれ担当。出演は、「男と女と金」のマルチェロ・マストロヤンニ、「イタリア式奇蹟」のソフィア・ローレン、「戦争と平和」のリュドミラ・サベーリエワ、ほかにアンナ・カレーナ、ジェルマーノ・ロンゴ、グラウコ・オノラート、カルロ・ポンティ・ジュニアなど。『ひまわり HDレストア版』日本語吹替版が、2023年7月28日より一部の劇場にて公開。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1970年9月30日 |
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キャスト |
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ リュドミラ・サベーリエワ アンナ・カレーナ ジェルマーノ・ロンゴ グラウコ・オノラート カルロ・ポンティ・ジュニア |
配給 | ブエナ ビスタ |
制作国 | イタリア(1970) |
上映時間 | 107分 |
(C) 1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT)– FILMS CONCORDIA(FR)– SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.
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ユーザーレビュー
総合評価:4.67点★★★★☆、9件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-06-15
🌻🇺🇦🇮🇹ヴィットリオ・デシーカ監督のソフィア・ローレン,マルチェロ・マストロヤンニ共演の三部作のひとつ。ともに家族の物語だが,本篇はそんなヒューマンcomedyでは無く辛い悲劇。ヘンリー・マンシーニの映画音楽の旋律はフェデリコ・フェリーニ監督作品〈道〉のニーノ・ロータの曲と並び余りにも哀し