暗くなるまでこの恋を 作品情報

くらくなるまでこのこいを

仏領リユニヨン島で煙草工場を営むルイ(J・P・ベルモンド)は、「ミシシッピー人魚」号から降り立った、写真見合いの花嫁ユリー(C・ドヌーブ)を迎えた。彼女は、写真とは似ても似つかぬ美人であったが、友人の写真を送ったという彼女の言葉を信じたルイは、すぐに結婚してしまった。ユリーに対するルイの打ち込み方はだんだん強くなり、ついに彼女にも自分の預金が自由に使えるように計らってやったりした。この状態を、ルイの友人であり会社の支配人ジャルディン(M・ベルベール)は、不安気に感じていた。ユリーの姉から、妹を案じる手紙が来た日に、ジャルディンの気がかりは、本当になってしまった。ユリーが預金の大部分を引き出して、姿を消してしまったのだ。幸福な日々の中で、隅に押しやっていた疑惑が、今、ルイの胸の中で一斉に頭をもたげてきた。そこへユリーの姉ベルト(N・ボルゴー)がやって来て、結婚式の写真を見るなり、妹ではないことを証言した。ルイとベルトは、私立探偵コモリ(M・ブーケ)に調査を依頼し、ルイ自身も、後をジャルディンにたくし、単身ニースに向った。そして、ついにリビエラで、ユリーの宿をつきとめたルイは、彼女から真相を聞き出した。彼女、マリオン・ベルガノは、孤児院育ちで、監獄に入ったりして、日陰の人生を送ってきたため、金がすべての人生観を支配しているような女だった。その彼女が、やくざ者のリシャール(R・テノ)と知り合い、「ミシシッピー人魚」号に乗っていたユリーをリシャールが殺し、むりやり彼女に金を盗ませたあげく、彼女をすてたことがわかった。あまりにもマリオンを愛していたルイは、彼女をいとしく思い、やがて二人は、小さな家を借り、ささやかな幸福を求めるようになっていた。そこへ、事件を調査していたコモリがやって来た。ルイは思わずコモリを射殺し、二人はリヨンに逃げることとなった。金が少なくなるにしたがって、マリオンはその神秘なマスクの陰のいやしい地金をみせはじめ、二人のいがみあう日がつづいた。そうするうちに「コモリの死体が発見され、警察の手は次第に二人の間近にまでせまってきたため着のみ着のままスイスの山小屋に身を隠した。そこで、ルイは毒をのまされている自分にきづいた。しかしルイは、後悔しなかった。このルイの真情を知ったマリオンは、自分の入れた毒入りコーヒーのカップを、ルイの手からはらい落した。無償の愛というものの感動が、彼女の生に光を投げかけたのだった。「生きのびよう」と決心した二人は、吹雪の中を国境へ向って、よろめきながら一歩一歩、たどりはじめた。

「暗くなるまでこの恋を」の解説

一組の男女をめぐる愛と冒険のミステリー。製作はマルセル・ベルベール、監督は「夜霧の恋人たち」のフランソワ・トリュフォー。ウィリアム・アイリッシュの原作を、同じくフランソワ・トリュフォーが脚色。撮影のデニス・クレルヴァル、音楽のアントワーヌ・デュアメル、美術のクロード・ピニョー、編集のアニエス・ギュモも「夜霧の恋人たち」のスタッフ。出演は「オー!」のジャン・ポール・ベルモンド、「うたかたの恋」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「黒衣の花嫁」のミシェル・ブーケ、その他、ネリー・ボルジョー、マルセル・ベルベール、ローラン・トゥノーなど。ディアリスコープ、イーストマンカラー。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年2月25日
キャスト 監督フランソワ・トリュフォー
原作ウィリアム・アイリッシュ
出演ジャン・ポール・ベルモンド カトリーヌ・ドヌーヴ ミシェル・ブーケ ネリー・ボルジョー マルセル・ベルベール ローラン・トゥノー
配給 ユナイト
制作国 フランス(1969)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2021-09-03

カナダのドキュメンタリー映画〈I am アルフレッド・ヒッチコック〉や映画〈裏窓〉リマスター版を見て居たらウイリアム・アイリッシュ原作のフランソワ・トリュフォーの本篇や〈黒衣の花嫁〉〈トリュフォーの思春期〉等が一頻り想い浮かんで来た。原作の大枠丈借りて自分流に換えて仕舞うと言うもののthrillingなタッチは原作の雰囲気を佳く表している。更にヒロインの魅力と共に🕵️

最終更新日:2023-08-01 02:00:02

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