ラストエンペラー 作品情報
らすとえんぺらー
1950年、ハルビン駅では次々と中国人戦犯たちが送りこまれていった。800人を越えるその人の中には“清朝最後の皇帝”--愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)の顔もあった。彼は人目を避けてトイレに入り手首を切った。様ざまな過去が彼の脳裏をよぎった--まだ何もわからぬ幼少(リチャード・ヴゥ)の頃、光緒帝は帰らぬ人となり、実質的支配者だった西太后(リサ・ルー)は、溥儀を紫禁城に迎え、皇帝にと考える。紫禁城での生活は、外へ出ることは禁じられ、心の支えは乳母(イエード・ゴー)だけだった。7年後、溥儀(タイジャ・ツゥウ)は、中国全土に革命の嵐が吹き荒れる中で、孤独だった。そんな頃、家庭教師としてやって来たレジナルド・ジョンストン(ピーター・オトゥール)から数学やテニスなど西洋の文化を学ぶ。やがて15歳になった溥儀(ワン・タオ)は17歳の婉容(ジョアン・チェン)を皇后に、12歳の文繍を第二の妃に迎えた。1924年、中華民国の軍人である馮玉祥のクーデターで、溥儀は紫禁城を追われ、ジョンストンが、婉容、文繍(ウー・ジュン・メイ)、女官らと共に英国大使館に保護することになる。一方、戦犯管理所センターでは、罪の告白が続く。溥儀は、日本の甘粕大尉(坂本龍一)との日々を思い出していた。天津の租界地でプレイボーイの生活を楽しんでいるころ、蒋介石率いる国民党が上海を攻略。溥儀の身を案じた甘粕は、日本公使館へ逃亡するように指示する。民主主義に日覚めた文繍は離婚を申し出、溥儀の元を去り、かわりに日本のスパイであり婉容の従姉のイースタン・ジュエル(マギー・ハン)がやってきた。やがて友人のジョンストンも帰国したが、1932年、全世界の非難にも関らず溥儀は、日本の“傀儡政府”である満州国の執権になり、2年後皇帝となった。溥儀が東京を訪問中、婉容が運転手と誤ちを犯し身寵ってしまう。運転手は射殺され、子供は秘かに始末された。中国主要都市を制圧した日本軍だが、1945年、ソ連が宣戦布告、同年8月15日、日本は無条件降伏する。玉音放送を聞きながら、甘粕はピストル自決を遂げた。日本へ脱出しようとした満州国皇帝は、長春の空港でソ連軍の捕虜となる。1959年、10年の収容所生活を経て、溥儀は特赦される。皇帝溥儀は、一市民に生まれ変わったのだ。そして、庭師として北京で暮らす溥儀は、あの懐かしい紫禁城を訪れる……。
「ラストエンペラー」の解説
激動の時代に生きた中国の最後の皇帝溥儀の生涯を描く。製作はジェレミー・トーマス、監督は「1900年」のベルナルド・ベルトルッチ、脚本はマーク・ペプローとベルトルッチ、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽は坂本龍一、デイヴィッド・バーン、コン・スー、編集はガブリエラ・クリスティアーニ、衣裳はジェームズ・アシュソンが担当。出演はジョン・ローン、坂本龍一ほか。後に219分のオリジナル全長版が発表されている。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1988年1月23日 |
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キャスト |
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
出演:ジョン・ローン ジョアン・チェン ピーター・オトゥール イン・ルオ・チェン ヴィクター・ウォン デニス・ダン 坂本龍一 リチャード・ヴゥ タイジャ・ツゥウ ワン・タオ マギー・ハン リック・ヤング ウー・ジュン・メイ ケリー・ヒロユキ・タガワ 池田文彦 イエード・ゴー リサ・ルー 高松英郎 立花ハジメ |
配給 | 松竹富士 |
制作国 | イタリア 中国(1987) |
上映時間 | 163分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:4.67点★★★★☆、3件の投稿があります。
P.N.「儚き夢、人はまた色眼鏡のコオロギ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2023-05-25
かなりの手間暇をかけた作品。
歴史的事実をかなり西洋風に脚色し、西洋好みの、回顧録に仕上げている。
演出も、西洋好み風になっている。
紫禁城は、観客のいない、劇場と、台詞にあるように、映画の紫禁城での展開は、正に、城壁の中で繰り広げられる京劇。
皆、上部だけだと嘆く、最後の皇帝。
それは、又、ころころ代わる人間の人民の姿でもある。
裁いていた人間が、いつしか、裁かれる立場になる。
人間とは、色眼鏡をかけたコオロギだ。どう転ぶかわからない儚き存在。
激動の中、生き抜いた、ラスト・エンペラー。
その強運、多くの支援を受けた人柄、その点を深く、掘り下げた作品になれば、もっと、良かったと思う。
イタリア・中国とあるので、かなり、中国に配慮した西洋趣味な内容。
着物姿が、残念な点を観れば、考察が、かなり、偏ったモノとわかる。
紫禁城も、借り物的であるし、最後の演出も、個人的趣味に終わった感はある。
紫禁城の主は、創造主なので、エンペラーは、紫色は召されない、儚き夢。