皆殺しの天使 作品情報

みなごろしのてんし

オペラ公演が終って、夜食をとるために20人余の上流紳士淑女が、豪荘なノビレ邸に集まって来た。主人エドゥムンド・ノビレ(エンリケ・ランバル)とその妻ルシア(L・ガジャルド)、彼女の愛人らしき大佐、ピアニストのブランカ(パトリシア・デ・モレロス)建築枝師、歌手、医者のコンデ(アウグスト・ベネディコ)、そしてワルキューレと呼ばれる処女レチチア(シルヴィア・ピナル)など。しかし、彼らが邸に到着する以前から、ノビレ邸ではちよっとして異変がおこっていた。十数名もの召使いたちが、夜食会を前に次々に邸を去っていったのだ。食事を終え、人々がサロンに移り、ブランカが弾くパラディージのソナタを聴きながら、噂話に花を咲かせ、帰る時刻が近づいた。しかし、誰も帰ろうとせず、朝の4時を迎えるが、遂に帰るきっかけを失い、皆は眠りこんでしまった。翌朝、執事長フリオ(クラウディオ・ブルック)を含めた21人が、サロンの外に出れなくなるという事態が生じる。水と食物が尽き、死者まで発生し、悪夢に襲われる人々の異常な光景。彼らはまぎれこんできた羊を、他人をおしのけて喰いつく。自殺を決意したノビレがピストルを手にした時、レチチアが不思議なことに気がつく。全員が最初の夜と同じ席で同じ会話をしているというのだ。そのまま話しを続け、彼らはサロンから脱出する機会を得る。しかし、彼らは、脱出を感謝してミサをあげにいった教会で、再び異常な事態に追いこまれていくのだった。

「皆殺しの天使」の解説

ある邸に集まった数十名の上流階級の紳士淑女が目に見えぬ力に操られてその邸から外に出られなくなるというシュールな現象を描く。製作はグスタボ・アラトリステ、監督・脚本は「自由の幻想」のルイス・ブニュエル、原案はブニュエルとルイス・アルコリサ、撮影はガブリエル・フィゲロア、音楽はラウル・ラヴィスタ、編集はカルロス・サヴァヘ、美術はヘスス・ブラーチョ、衣裳はジョルジェット・ソモアーノが各々担当。出演はシルヴィア・ピナル、エンリケ・ランバル、ルシー・ガジャルド、エンリカ・ガルシア・アルバレス、ジャクリース・アンデーレ、ホセ・バビエラ、アウグスト・ベネディコ、ルイス・ベリスタイン、パトリシア・デ・モレロス、クラウディオ・ブルックなど。2017年12月23日よりリバイバル上映(配給:アイ・ヴィー・シー/配給協力:ノーム)。また「シュルレアリスム100年映画祭」として、アンドレ・ブルトンによるシュルレアリスム宣言から100年が経った2024年10月5日劇場公開された。

メキシコ時代最大の問題作といわれるルイス・ブニュエルの不条理劇。オペラ観劇後の晩餐会。20人のブルジョアが宴を楽しんでいるが、夜が更け、明け方になっても誰も帰ろうとしない。謎の幽閉状態は何日も続き、やがて人々の道徳や倫理は崩壊していく。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1981年8月1日
キャスト 監督ルイス・ブニュエル
出演シルヴィア・ピナル エンリケ・ランバル ルシー・ガジャルド エンリカ・ガルシア・アルバレス ジャクリーヌ・アンデーレ ホセ・バビエラ アウグスト・ベネディコ ルイス・ベリスタイン パトリシア・デ・モレロス クラウディオ・ブルック
配給 フランス映画社
制作国 メキシコ(1962)
上映時間 94分

(C)1991 Video Mercury Films

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-07-01

映画「マーストン教授とワンダーウーマンの秘密」で一頻り女性の誘因等のモチーフに触れた後で,本篇を観る。邸宅に磁石の如く惹き付けられた瀟洒な男女のブルジョワジーの顛末の不条理劇が,デカダンスな甘美さから悪臭と空腹の、或いは煩くて苦痛を伴う様な時空の閉塞情況へと移り行くのが不気味な程に感じられるんだ。解放後の断末魔なラストシーンは確かに物議を醸すだろう❗️

最終更新日:2024-11-22 02:00:04

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