激流(1994) 作品情報
げきりゅう
ボストンに住むゲイル(メリル・ストリープ)は、息子のローク(ジョセフ・マゼロ)の誕生日のお祝いで、故郷で休暇を過ごすことにした。仕事一途で家庭をかえりみない建築家の夫トム(デイヴィッド・ストラザーン)にゲイルの心は冷えていて離婚を考えている。出迎えた彼女の両親(エリザベス・ホフマン、ヴィクター・H・ギャロウェイ)に幼い娘ウィラ(ステファニー・ソーヤー)を預けて、2人は川下りの準備にかかり、そこで人なつこい青年ウェイド(ケヴィン・ベーコン)に出会う。そこへ仕事を投げ打ってトムが到着するが、父親に反発しているロークは喜ばない。以前急流下りのガイドをしていたゲイルの先導で、愛犬マギーも加わりブライダル・クリークへの川下りが始まった。ウェイドたちの一行も下り始めた。翌日、ウェイドと友人テリー(ジョン・C・ライリー)が途中の岸で待っており、ガイドのフランクに逃げられて困っていると言うので、ゲイルが案内を引き受ける。途中でボートから落ちて溺れたウェイドをトムが助ける。ウェイドはトムに命の恩人だと礼を言いながら、しがみついた彼をトムが殴ってひき離したことを根に持っていた。同行するうちにウェイドはその凶暴な正体を現した。彼らは牛の競売場から売上金を強奪して逃走中の身で、フランクも彼らに殺されていた。ボートに不慣れなウェイドは銃でゲイルを脅し、ブライダル・クリークの先までボートで行くことを強要した。そこは“ガントレット”と呼ばれる激流で、18歳の彼女は幸運にも渡ることに成功したが、危険すぎるため現在はボートで行くことは禁止されていた。しかし夫と息子の命には代えられず、ゲイルは承諾する。途中、岸で一泊した際、トムが銃を奪おうとして失敗し、ウェイドに銃撃される。必死に逃げ延びたトムはマギーと共に陸路を急ぎ、ガントレットに先回りする。目的地を目前にしたゲイルたちのボートに監視員のジョニーが近づくが、ウェイドにあえなく殺された。落差2km、幅90mの大激流に挑んだゲイルたちは必死にボートを漕ぎ、なんとか抜け出す。そこへ待ち伏せしていたトムの仕掛けた罠でボートが転覆し、ゲイルはオールを振り上げてウェイドを川に突き落とす。彼女は夫の危険を救うため、奪った銃でウェイドを倒した。事件は終わり、一家の絆は強くなった。
「激流(1994)」の解説
逃走中の凶悪犯に同道させられ、怒濤さかまく急流下りに挑む一家の危難を描いたアクション・アドベンチャー。ほぼ全編が本物の川でロケーション撮影され、そのダイナミックな自然描写が見どころ。監督はサミュエル・フラーの「ホワイト・ドッグ」などの脚本家を経て、「窓 ベッドルームの女」「バッド・インフルエンス 悪影響」「ゆりかごを揺らす手」と、サスペンスものを得意とする監督となったカーティス・ハンソン。脚本は本作がデビューとなるデニス・オニールで、フライフィッシング愛好家である彼が雑誌に発表した自身のノンフィクションを基に脚色。製作は新旧2作の「ゲッタウェイ(1994)」で知られるデイヴィッド・フォスターと、ローレンス・ターマンの共同。撮影は、監督とは3作目となるロバート・エルスウィット、音楽は「ケイブルホーグのバラード」「氷の微笑」などの名匠ジェリー・ゴールドスミス。美術は「白いドレスの女」のビル・ケニー、編集は「JFK」でアカデミー賞を受賞したジョー・ハッシングと、「ウォール街」「天と地」のデイヴィッド・ブレナー。主演は2度のオスカーに輝き、近年は「永遠に美しく…」「愛と精霊の家」など意欲作が続くメリル・ストリープ。撮影に当たって体重を増やし、オリンピック代表選手からボートの操縦を学び、川下りの場面は全体の9割を自分でこなすなど、初の本格的アクションに意欲的に取り組んでいる。共演は「JFK」「告発」のケヴィン・ベーコン、「ザ・ファーム 法律事務所」「欲望(1993)」のデイヴィッド・ストラザーン、「ジュラシック・パーク」「永遠の愛に生きて」の子役ジョセフ・マゼロら。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1995年4月22日 |
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キャスト |
監督:カーティス・ハンソン
出演:メリル・ストリープ ケヴィン・ベーコン デイヴィッド・ストラザーン ジョセフ・マゼロ ジョン・C・ライリー ステファニー・ソーヤー ウィリアム・ラッキング ベンジャミン・ブラット エリザベス・ホフマン ヴィクター・H・ギャロウェイ |
配給 | UIP |
制作国 | アメリカ(1994) |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-03
この映画「激流」は、ほぼ全編が本物の川でロケーション撮影されたということだ。
本当にどうやって撮影したんだろうと思ってしまうような迫力あるシーンの連続。
荒々しい水しぶき。全てを飲み込むかのように襲いかかる激流。
ダイナミックな自然描写に目を瞠るばかり。
激流を下るシーンの迫力とメリル・ストリープの頑張りに度肝を抜かれてしまいます。
メリル・ストリープ扮するゲイルは、元急流の川下りのガイドをしていた、川下りの名人という設定ですが、それにしても逞しい。
仕事一筋の夫との仲は冷え切っていて、息子のロークは父のことをよく思っていない。
ロークの誕生祝いに川下りにやってきたものの、夫との関係は修復しがたく---------。
そんな伏線を後半上手く生かしているのも実にいいんですね
頼るべき存在であるはずの夫は頼りにならず、幼い息子と2人で本性を現した、ケヴィン・ベーコンらの悪漢に立ち向かうゲイル。
とにかくメリル・ストリープが、往年の透明感溢れる美しさはどこへやら、太い腕を剥き出しにして、「エイリアン」のリプリーに引けを取らない活躍で頑張る、頑張る。 恐れ入りますの一言。 不敵な面構えのウェイドを、主役を食ってしまう程の存在感を身に付けたケヴィン・ベーコンが、これまた憎らしいくらい、うまく演じている。 息子役の少年も可愛いし、巧い。 「ジュラシック・パーク」でティムを演じた子。 夫であるトムが、少し影が薄いのが残念な気がします。 演じるデヴィッド・ストラザーンは、オールマイティな役者で、作品ごとにガラッとイメージが変わる役柄の幅が広い俳優。 もう少し活躍の場があっても良かったのではないかと思いますね。 激流下りという本筋に、アメリカ映画お決まりの夫婦の崩壊というテーマも描かれているわけですが、本筋にうまく練りこまれていて、サスペンス要素を盛り上げていて実に素晴らしい。 惜しむらくは、心理的なやり取りがもう少し描かれていれば、夫の存在も生きてきて、より一層、この映画に深みが増したのではないかと思いますね。