P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-13
観ている者は、いつの間にか、これが現実の再現のように思えてしまうのだ。
だからこそ、引き揚げの瞬間と、ニューヨークの帰りのシーンは、強烈な現実感で感動してしまうのだ。
そして、この映画はこの後、”もう一つの謎の解明”を見せるのだが、夢を追う人間の心理を見事に読み取って、”虚構のスペクタクル”に現実的な感動を与えたジェリー・ジェームソン監督は、なかなかの切れ者だと思う。
れいずざたいたにっく
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観ている者は、いつの間にか、これが現実の再現のように思えてしまうのだ。
だからこそ、引き揚げの瞬間と、ニューヨークの帰りのシーンは、強烈な現実感で感動してしまうのだ。
そして、この映画はこの後、”もう一つの謎の解明”を見せるのだが、夢を追う人間の心理を見事に読み取って、”虚構のスペクタクル”に現実的な感動を与えたジェリー・ジェームソン監督は、なかなかの切れ者だと思う。
この「レイズ・ザ・タイタニック」と言う作品は、その”夢”に挑戦した映画なのだ。
当時、現実にタイタニック号の引き揚げの計画が話題になり、製作の進行と重なったのは偶然のようだが、アメリカやイギリスの人たちにとっては、いかに大きな”夢”であったのかがよくわかる。
それだけに、この映画のポイントは、タイタニック号浮上の瞬間と、再びニューヨーク港に入るシーンだ。
リシャの客船アテナイ号を改造して使用したのだそうだが、特撮とロケを合わせたその成果は、やはり息をのむスペクタクルだ。
それは、特撮のうまさという以上に、実は映画の作り方自体に巧みなトリックが絡んでいるからだと思う。
映画は北極海のソ連領からワシントンの政治の極点を結ぶドラマ・ラインを、あたかもニュース・ドキュメンタリーのように冷たく抑えて撮っていくのだ。
この映画「レイズ・ザ・タイタニック」は、異色のスペクタクル映画の傑作だ。
人間というものは、常に”夢と冒険”を追い求める存在だと思う。
かつてのタイタニック号引き揚げのニュースなどは、そんな夢を追う人間の挑戦の一つでもあるのだ。
このタイタニック号と言えば、1912年4月14日、処女航海で氷山とぶつかり、北大西洋の底に沈んでしまった超豪華客船で、その存在自体がまことにドラマチックである上に、この船には様々な人々が乗り合わせていて、人の世の定めを思わせるところから、それまでにも数多くの小説や映画の素材になって来たのは、衆知の事実だ。
だが、沈んでいくタイタニック号を描いた映画は多くても、再び浮上する姿を描いた映画はなかったと思う。
人々の夢であるだけに、映像化が難しかったのだろうし、CGの発達していなかった当時としては、巨体が浮き上がる瞬間の撮影が出来なかったからだと思う。