P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
ヴェトナムに米兵が、今も捕虜となっている証拠の写真を撮る為に、ランボーが派遣される。
ところが、これが軍の首脳部のトリックで、捕虜はもういないとの証拠を作り上げ、議会へ提出しようとしていたのだ。
だから、ランボーが生き残りの捕虜を発見し、その中の一人を連れて帰ろうとした時、司令官は突然、作戦の中止命令を出すのだった。
捕虜が生き残っている事実を知られ、更にそれを知ったランボーが、生きている事はまずいというのだ。
ヴェトコン軍に捕らえられ、ソ連軍に拷問されたランボーは、脱出を図り、ヘリコプターを奪って、捕虜全員を連れて、基地へ帰ろうとするのだが--------。
この映画の見どころは、何と言っても、ランボーを演じるシルベスター・スタローンの超ハードなアクションだ。
文字通り、地に潜み、森を這い、一人また一人と殺していく格闘技の凄まじさは、目を見張るものがある。
監督のジョージ・P・コスマトスは、イタリア映画界出身だが、イタリア人特有の粘っこさに、「カサンドラ・クロス」で見せた、素材を大きく掴んで語り上げる、ハイテンポな力量を重ねて、我々観る者を画面の中に引きずり込むのだ。 あの戦争をどう自己の心に位置付けるにしろ、アメリカ人にとって、ヴェトナム戦争は、決してまだ終わってはいないのだという事実。 ランボーたちは国を信じ、命を賭して戦って来たのに、仮面を被った国のオポチュニストたちは、侵略者の如く、つまはじきにする。 失われた自分たちの青春はどうなる。 国の一人一人の為に戦って来た自分たちを、もっと理解して欲しいという、ヴェトナム戦争の世代の訴えが、画面に溢れていると思う。 ランボーを理解する、唯一人の上司が言う。「間違った戦争だったが、国を憎むなよ」 それに対して、ランボーが答える。「命を捧げます」 もう一度、あの自由と、明るい夢と努力が唸る国アメリカを、作り直そうよ--------と。 それは単に、一国の意識の高揚を乗り越えて、人間の心自体へ訴えかけた言葉であったと私は思う。