P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-12
この作品は、それまでセックス・シンボルとして人気を博していたマリリン・モンローの、アクターズ・スタジオでの演技のトレーニングの成果が発揮され、彼女のターニング・ポイントとなった作品で、彼女のとぼけた中にも人間の悲しみを表現した演技は、辛口で知られるニューヨーク・タイムスの映画評で、「マリリン・モンローはついに女優になった」 と評されたのです。
彼女が演じるのは、田舎の純粋というにはいささか常軌を逸した朴訥さの、カウボーイにひと目惚れされる酒場の歌手の役だ。
人生の当面の目標を、ハリウッドの女優になることと決めているこの歌手の、目標からそれていく様子が描かれているのだが、ドラマはコミカルな中にホロリとさせるものがある。
何度となくカウボーイの手から逃れようとするが、とうとうそれもならないままに、雪に閉ざされた、とあるバス停留所のドライブ・インまで連れられて来てしまった。
このドライブ・インでのマリリンの一部始終、つまりカウボーイの中に真実を見たヒロインには、人生と男の裏も表も知り尽くした女ならではの、そこはかとない優しさが漂っていたように思います。