日曜日には鼠を殺せ 作品情報

にちようびにはねずみをころせ

1939年スペインの内乱はフランコ軍の勝利に終わった。ゲリラのリーダーだったマヌエル(グレゴリー・ペック)は国境を越えフランスに亡命、20年の歳月が流れた。かつての英雄も年老いて今は知る人もない。ある日パコという少年が訪ねてきて、かつての彼の友であったという少年の父を殺した警察署長ヴィニョラス(アンソニー・クイン)を殺してくれとたのまれたが断った。その警察署長はこの20年マヌエルを捕まえることだけに生きてきた。だが、国外に住む彼に手出しはできない。そんなときマヌエルの母が重体というニュースが入った。知らせれば彼は来るにちがいない。密輸商人カルロスを使者にたてた。だが母は息子が罠にかかるのを感じ、フランスに旅立つフランシスコ神父(オマー・シャリフ)に、息子を来させるなと託し息をひきとった。一方カルロスはパコ少年に素性を見破られ、マヌエルを撲り倒して逃げた。神父と一夜語り明かしたマヌエルは、自分を助けようとする神父の心の温かさに触れて感動した。そしてもうどうなってもいいような気になった。体力も、気力さえ衰えた自分だ。罠を承知で1人雪のピレネーを越え、祖国の土を踏んだ。厳重な警戒線の中でついにうちあいが始まった。カルロスを倒したが、自らも銃弾をあび死んでいった。軽い怪我をしただけの警察署長を新聞記者が取巻き、永年の宿敵を倒した感想を求めた。「マヌエルは母親の死んだことを知っていた。俺たちの罠のことも知ってたはずだ。それを承知でどうして乗り込んで来たのか?」と自問した。そして長い年月の空費に、何ともいえない苦さを味わった。マヌエルの死体が運び出された時、フランシスコが目に涙して見送っていた。

「日曜日には鼠を殺せ」の解説

エメリック・プレスバーガーの同名小説を「酒とバラの日々」のJP・ミラーが脚色、「尼僧物語」のフレッド・ジンネマンが製作・演出したレジスタンスの活劇ドラマ。撮影はジャン・バダル、音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャールが担当した。出演は、「アラバマ物語」のグレゴリー・ペック、「アラビアのロレンス」のアンソニー・クイン、「ローマ帝国の滅亡」のオマー・シャリフ、「橋からの眺め」のレイモン・ペルグラン、「山猫」のパオロ・ストッパ、ミルドレッド・ダンノック、ダニエラ・ロッカなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

配給 コロムビア
制作国 アメリカ(1964)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、4件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-09-26

この映画は、全生涯を賭けて闘ってきたものに殉じるために、徒労という人生の選択をした男を静かに描いた秀作だと思います。

この映画「日曜日には鼠を殺せ」の原題は、「BEHOLD A PALE HORSE(蒼ざめた馬を見よ)」となっており、これは「ヨハネ黙示録」第六章第八節にある有名な言葉で、映画の冒頭で、「蒼ざめた馬を見よ。これに乗るものの名を死といい、黄泉これに従う」と説明されています。

この「蒼ざめた馬を見よ」というフレーズを聞くと、どうしても作家の五木寛之が文壇への鮮烈なデビューを飾り、直木賞を受賞した同名の小説を思い出しますが、もともとは、ロープシンという作家の「蒼ざめた馬を見よ」が原典になっているようです。

そして、この映画の原作の小説は、映画「赤い靴」の監督、脚本家としても有名なエメリック・プレスバーガーの「Killing a Mouse on Sunday(日曜日には鼠を殺せ)」で、聖書の教えを忠実に守る敬虔な清教徒の人々は、日曜日は安息日なので働いてはいけないと考えていて、だから、日曜日に鼠を殺した猫がいたとしたら、月曜日に猫は清教徒に殺される—-という意味を表しており、つまり、日曜日に鼠を殺す事は徒労であり、そのために手痛いしっぺ返しを食らってしまうという、この小説のテーマを象徴的に暗示している言葉になっていると思います。

最終更新日:2024-10-06 16:00:01

広告を非表示にするには