ツェッペリン 作品情報
つぇっぺりん
1915年、勇猛な独軍と苛烈な戦闘を続ける英軍にとって、また新たな脅威が出現した。それは独軍の新型武器〈飛行船ツェッペリン号〉であった。平和な時代の文明の利器として作り出された飛行船は、戦争専門家によって改良され、旅客の代わりに爆弾を搭載するかっこうの兵器となった。従来の戦闘機の攻撃能力をはるかに越えた上空を飛ぶこの新兵器に驚いた英軍事内閣は、早速対抗手段を考えなければならなかった。こうしてジェフリー中尉(マイケル・ヨーク)が英秘密情報部に呼び出された。ドイツとイギリスの血筋をひいたこのスコットランドの中尉は、ドイツ語を流暢に喋り、ツェッペリンの基地がある場所の地理も地元の人と同じくらい詳しかったからだ。英国に対して誰にも負けぬ愛国心をもつジェフリーだったが、第二の母国のドイツを裏切るような今回の任務は気が進まなかった。しかも彼はそのころ、ステファニー(アレクサンドラ・スチュアート)という謎めいた女と激しい恋をしていた。彼女が独軍のスパイであること知っていた英軍情報部が、その関係を利用しようとしたのである。案の定、彼女はジェフリーにスパイになれと誘惑する。それこそ情報部の思う壷で、ツェッペリンの動向を探り、万一の場合、破壊する使命をジェフリーは与えられる。そしてステファニーの用意したルートを辿って、彼は英仏海峡を渡った。基地に着いたジェフリーは、独軍情報部ヒルシュ大佐(アントン・ディフリング)、タウントラー少佐(ピーター・カーステン)に迎えられ、ツェッペリン号の設計者でチーフ・エンジニアのアルツシュル博士(マリウス・ゴーリング)、彼の若い妻エリカ(エルケ・ソマー)を紹介される。彼女は飛行船に関しても夫のよき協力者であり、また平和のために作ったはずの飛行船が戦争兵器に利用され、幻滅している初老の夫を慰め、勇気づけていた。いよいよツェッペリンがテスト飛行という日、ジェフリーは突然呼び出され、飛行船に乗せられる。それはもうテスト飛行ではなく、スコットランドの城に隠されているイギリスの歴史的資料や絵画、財宝を奪い、イギリス精神のバックボーンに杭を打ち込もうという企みだった。ジェフリーは道案内だった。彼はなんとか英情報部と連絡をとろうとしたが、飛行船は監視の目のはるか彼方を飛び、目的地に着いた。守備の英軍も激しく抵抗した。戦闘で傷ついたジェフリーは、飛行船を炎上させようと試みる。しかし、彼は気を失い、エリカに助けられる。一方、独軍の企みも英軍の抵抗で失敗し、ツェッペリンは離陸する。英軍はツェッペリン撃墜を期して空軍を総動員した。スコットランドでの戦闘で打撃を受けていた飛行船は高度を失していた。壮烈な空中戦が始まった。ツェッペリンの司令室は英軍機の猛撃で粉砕寸前となり、飛行船を救う道はただ1つ、不要なものを捨てて、高度を維持することだった。傷ついたタウントラーは自ら海中に飛び降り、博士も絶望して投身自殺する。燃料の尽きたツェッペリンは、中立国オランダに不時着して爆発した。海岸まで泳ぎきったジェフリーとエリカは、ツェッペリンの最期を見届け、戦争が終わるまでオランダで過ごすことにした。(ワーナー配給*1時間42分)
「ツェッペリン」の解説
第一次大戦を背景に、世界最大の飛行船とともに生き、そして死んだイギリスとドイツの英雄たちを描く戦争スペクタクル。製作総指揮をJ・ロナルド・ゲッティ、製作・原案は「暁の出撃」のオーエン・クランプ、監督は「太陽にかける橋」のエチエンヌ・ペリエ、脚本はアーサー・ロウとドナルド・チャーチルの共同。撮影をアラン・ヒューム、音楽を「ソルジャー・ブルー」のロイ・バッドがそれぞれ担当。出演は「ロミオとジュリエット」のマイケル・ヨーク、「勝利者(1963)」「逆転」などのエルケ・ソマー、「黒衣の花嫁」のアレクサンドラ・スチュアート、「赤い靴」のマリウス・ゴーリング。他に、ルパート・デイヴィス、アントン・ディフリングなど。テクニカラー、パナビジョン。1970年作品。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1971年4月29日 |
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配給 | ワーナー |
制作国 | アメリカ(1970) |
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