太平洋の地獄 作品情報
たいへいようのじごく
第2次世界大戦の末期。南太平洋のカロリン諸島の小島に1人の日本海軍大尉(三船敏郎)が漂着し、飢えと孤独の中で生きる道を求めていた。ある暴風雨の夜、その島にアメリカ海軍少佐(リー・マーヴィン)が救命ボートでたどり着いた。(ここで2人を仮に、その皮膚の色で、ブラウン、アメリカ人をレッドと呼ぶ)2人は、豪雨の中で会った。が互いに、その正体がわからぬまま、ただ不安がつのるばかりだった。翌朝、ブラウンは、救命ボートを発見、昨夜の化物の正体がアメリカ兵であることを知った。灼熱の太陽はレッドの喉を灼いた。そしてついにブラウンが水を貯めてある貯水布に近づいた。ブラウンは眠ったふりをしてレッドをつかまえようとしたが逃げてしまった。そこで、ブラウンは煙でレッドを森からいぶり出すことにした。が、レッドは出てこなかった。翌日、水をめぐって2人の闘いは続いた。そして遂にその翌朝、レッドはブラウンの捕虜となった。しかし、この特殊な環境の中で勝者と敗者にどれほどの違いがあろうか。2人の間には無益な疲労感が残るだけで、ブラウンもレッドを捕虜扱いしている無意味さに気がついた。2人はこの疎外感を救うにはほかの世界へ脱出するしかないという気持ちに到達、筏をくんで外海に出た。そして数日後、ついに第2の島へ着いた。その島にも人影はなかった。が、そこは旧日本軍の陣地であったらしく、建物、軍服、酒、缶詰などが見つかった。生きられたという気持ちがゆとりとなったのか、2人は初めて友情を感じ、酒をのみながら、言葉もわからないままに身の上話を始め、徹夜で騒いだ。そうしているうちに、ブラウンはふと手にしたライフ誌の中に日本兵の死体の写真を見た。ブラウンの心にレッドは敵だという意識がわいた。だが、2人はお互いに闘いの空しさを知っていた。今日もまた島は、南海特有の美しい朝をむかえた。互いに正装し、2人は、敬礼を交わし、それぞれの方に去っていった。
「太平洋の地獄」の解説
製作のルーベン・バーコヴィッチのストーリーを、「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のアレクサンダー・ジェイコブスと新人エリック・バーコヴィッチが脚色、「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のジョン・ブアマンが監督した。撮影は「冷血」のコンラッド・ホール、音楽を「女狐」のラロ・シフリンが担当した。出演は、日本側から「祇園祭」の三船敏郎、アメリカ側から「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のリー・マーヴィンの2人。製作総指揮は、ヘンリー・G・サバースタインとセリッグ・J・セリッグマン。
公開日・キャスト、その他基本情報
配給 | 松竹映配 |
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制作国 | アメリカ(1968) |
上映時間 | 101分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2023-11-13
この「太平洋の地獄」は、鬼才ジョン・ブアマン監督が、日米を代表する三船敏郎とリー・マービンのタフガイ二人だけの競演で、パワフルに描いた文明批判映画だ。
太平洋戦争末期、南海の孤島に漂着した米兵と日本兵の対立。
先に漂着した三船敏郎は、貯めた水を守るため徹底抗戦し、煙でジャングル燻し出し作戦と、流石、世界のミフネ、やってくれますね。
一方の豪快なリー・マービンも、策を弄して、手製の原始的な武器で、サバイバル肉弾戦にうって出るのだ。
言葉が通じない二人は、敵対するばかりだが、やがて互いに捕まえ合う無益な戦いに疲れ、協力して筏を作り、島から脱出を図るのだった。
二人は酒を酌み交わして別れるのだが----------。