ゾラの生涯 作品情報

ぞらのしょうがい

若き日のエミール・ゾラは、パリの屋根裏の破れ部屋でポール・セザンヌと同居し 、真実追求の激しい情熱を著作に打ち込んだ。真を書いたゆえにようやく得た出版社での職も失ったが、ある日警官に追われていた巷の女ナナを救い、彼女の身の上話を小説に書いて大好評を得、続いて書いたルーゴン=マッカール叢書十数巻はゾラを一流作家とし、やがて富と地位を得て文豪の名声を博した。そのころ全世界を騒がせていたドレフュス事件が起こった。軍の機密を某国にもらしている参謀部将校が、何者であるか突き止め得なかった軍首脳部は、ユダヤ人であるが故にドレフュス大尉を犯人と断じ、反逆罪に問い悪魔島へ終身刑の囚人として送った。夫の無罪を信じるドレフュス夫人は、ゾラを訪れて世論に訴えて夫を救ってくれと頼み、書類を渡した。ゾラは有名な「余は訴う」と題する一文を草してドレフュス事件の再審を天下に訴えた。軍首脳部はすでに真犯人がエステルハジー少佐であることを知っていたが、一度有罪と決してドレフュスの処刑をくつがえすのは、首脳部の責任を問われる恐れがあるので、真相をもみ消すことに尽力した。軍は裁判所に干渉し、ゾラを中傷罪として逆に訴えるとともに、いくつかの新聞にゾラは国賊なりと書かせて大衆を扇動したのであった。かくて、ゾラの友人である弁護士ラボリの熱弁もかいなく、ゾラは有罪となり二年の禁固が申し渡された。友人たちは計ってゾラを英国に亡命させた。その後も友人たちは正義のための論陣を張り続け、そのうちに政変があってフランスの政府は一変した。このためドレフュス大尉を処刑した軍首脳部はことごとく退職させられ、真犯人エステルハージ少佐は自決してしまった。ゾラは愛国者として迎えられ、ドレフュスも悪魔島から召還され、改めて軍籍に戻り中佐に昇進した。その喜びの日の前夜、ゾラは書斎で執筆中ガス中毒で死亡した。ゾラをパンテオンに祭る日には、アナトール・フランスが悼辞を述べた。

「ゾラの生涯」の解説

フランスの文豪ゾラの生涯とドレフュス事件を大きく扱った伝記映画で、「科学者の道」と同じくポール・ムニが主演し、ウィリアム・ディターレが監督したものである。マシュウ・ジョセフスンの「ゾラとその時代」に取材して、ハインツ・ヘラルドとゲザ・ハーゼッグがストーリーを書き、この二人にノーマン・ライリー・レインが加わって脚本を執筆している。主演のムニの他に「桃色の店」のジョセフ・シルドクラウト、「クリスマスの休暇」のゲイル・ソンダーガード、「呪いの家」のドナルド・クリスプ、「どん底」のウラジミル・ソコロフ、「町の人気者」のヘンリー・オニール、「アメリカ交響楽」のモーリス・カーノフスキー、グローリア・ホールデン、エリン・オブライエン・ムーア、ルイス・カルハーン、ロバート・パラットらが主要な役を演じている。撮影は「恋の十日間」のトニー・ゴーディオが指揮した。この映画は1937年度アカデミー賞の作品賞、脚本賞、助演男優賞を得た大作である。

公開日・キャスト、その他基本情報

制作国 アメリカ(1937)
上映時間 116分

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最終更新日:2022-09-29 15:33:56

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