P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-04-26
NHKBSPREMIUMcinemaにて久し振りに本篇を視聴す。デジタルリマスター版で綺麗に修復された映像はゴシックmysteryのテイストすら感じさせる。孤独な新聞王の心情は独裁者リア王の乱心の姿とも重なって…
しみんけーん
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NHKBSPREMIUMcinemaにて久し振りに本篇を視聴す。デジタルリマスター版で綺麗に修復された映像はゴシックmysteryのテイストすら感じさせる。孤独な新聞王の心情は独裁者リア王の乱心の姿とも重なって…
キネマ旬報の世界の映画ベストワンではエイゼイシュテイン監督の〈戦艦ポチョムキン〉と何時も競い有って居たcinema クラシック!monochromeのモンタージュとオーソン・ウエルズの魔術には舌を巻く
”独創的な回顧の話術と全焦点撮影の持続的演出”(飯島正氏)の形式で構築されたオーソン・ウェルズの強烈で大胆な映画遺産。驚嘆すべき冒頭の約20分に及ぶ報道フィルムのモンタージュ表現と編集力の素晴らしさ。英語の持つリズミカルでテンポ感ある語調がそのまま映像の流れに融合した感覚の鋭敏さ。「怒りの葡萄」の名匠グレッグ・トーランドの撮影、「ウエストサイド物語」の巨匠ロバート・ワイズの編集と、超一流のスタッフが25歳の魔人オーソン・ウェルズを支える。
ある新聞王の生涯を分析する使者は、彼の謎の遺言”バラのつぼみ”を解明出来ずに終わる。だが、映画は観客には暗示的に教えてくれる。富と名声を享受した偉人の満たされぬ愛の彷徨を衝いた劇的な手法にある、明快な人間洞察の話術をどう評価しよう。内容と表現の相克の勝敗は明らかだ。余りにも表現が優れ過ぎている。
そしてフランク・キャプラ監督のモノクロ・クラシック映画「プラチナ・ブロンド」の大邸宅を舞台にした恋愛ドラマを観ていたら,矢張り邸宅住まいの新聞王の孤独を画いた本編の事が頭を過ったんだ。F・キャプラのコメデイなタッチとO・ウエルズのシリアス・ゴシックとではスタイルの違いは在るけれどもブルジョアへの自己嫌悪感は共通する処かな🍀🌹
ピーター・フォークの十八番のドラマ「刑事Colombo」を視聴してたら新聞王ハーストをモデルにした本編が犯人のトリックを解く鍵に為っていた…,オーソン・ウエルズ監督の本編で使われた映画セットの門とか「薔薇の蕾」の科白とか…,
ウオーレン・ベーテイがハワード・ヒューズを演じる映画〈ハリウッド・スキャンダル〉を観ると本編で謎めいた新聞王で在った彼を想い浮かべて仕舞う。映画史上の金字塔の本作を明るみに出したく無かったH.ヒューズだが上記のスキャンダルでは狂人振りと子どもへの愛情振りが同居していて、中々魅力的何だね!リリー・コリンズ嬢も若き日のエリザベス・テイラー見たく美しくて…🕵️👸🛩️🎬🎥
高校の映研の先輩と満杯の観客席でのホール上映会で、かなり掠れた状態の本編を観たのが最初で在った…。魘されるような興奮とフィーバー振りが今でも「ローズバット薔薇の蕾」と言う呪文の如き言葉と共に想い出される。フランツ・カフカ原作の〈審判〉も又、不条理な閉塞状況下の一人の男の姿が悪夢として再現された。HGウェルズの「宇宙戦争」をラジオの実況生中継して合衆を震撼させた天才オーソン・ウェルズ監督の金字塔!