P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-11-21
ナチスから逃れてアメリカに渡ったフリッツ・ラング監督のアメリカ時代を代表する傑作。晩年はB級映画監督扱いの不遇を受けましたが、映画の歴史に名を遺す巨匠として敬愛しています。これは、ナチスドイツの占領下にあるチェコスロバキア人のナショナリズムを強烈にフィルムに収めた誇り高き民族映画と称したい。予想不可能な緊迫した展開のサスペンス映画の醍醐味があり、一つひとつのカットに込められた作者の理念が、登場人物の思いと対峙する充実した映像美を創作しています。大戦中の制作という理由も大きいでしょう。また出演俳優の地味なキャスティングも結果、安易なヒロイズムに陥ることなく、骨太で強固な、そして深みのある作品に寄与している。レジスタンス映画の何たるかを知らしめる貴重な作品です。