コードネームはファルコン 感想・レビュー 2件
こーどねーむはふぁるこん
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P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-31
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
信仰という形の逃避には、ついて行けない主人公の性格。友人が中毒性の強いメキシカン・ヘロインに手を出した時の怒りにも、その潔癖性がよく現われている気がします。
この主人公の青年を演じているのが、「普通の人々」で鮮烈な演技を示したティモシー・ハットン。
彼は、この映画の製作当時の1980年代半ばにおいて、アメリカ国内で最も純粋なアメリカ青年のイメージが浸透していた俳優で、彼がこの映画に起用された理由も、この理想主義の具現化のためであったように思います。
ジョン・シュレシンジャー監督がかつて撮った名作「真夜中のカーボーイ」も、そのテーマは、"アメリカン・ドリームとその挫折"で、燦さんと輝くフロリダの太陽を見ようと、死へと旅立った青年とそれを哀しげに優しく見守る青年----。
アメリカの建国のテーマは、ピュアな理想主義であったと思います。ところが、今それはもう、どこにもない----。
この青年の心情をわかろうとする者すらいないのではないか? そして、ラストの"This is not America"の唄声が、冷たく胸に残るのです。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-31
この映画「コードネームはファルコン」は、アメリカで現実に起きた実在の事件を、「真夜中のカーボーイ」「マラソンマン」のイギリス出身のジョン・シュレシンジャー監督の目を通して、再現した実録スパイ・サスペンス映画とも言える作品です。
スパイ映画と言っても「007」シリーズのような、スーパーヒーローが活躍する話ではありません。
この映画の主人公は、神学校をやめ、カレッジへ戻ろうと考えた青年で、元FBI局員の父の世話で防衛産業に就職します。
しかし、機密文書が往来する中、CIAの謀略で、とある小国に動乱が起き、リーダーの交代が行なわれているのを知ると、彼は理想主義、道徳観から衝動的に機密事項をソ連に売り渡そうとするのです。
受け渡しの使者となるのは、彼の幼馴染で麻薬の密売をしている親友----。
アメリカ全土を騒がせたこのスパイ事件を、青年たちとソ連との取引という、サスペンスの香りをまぶしながら、ジョン・シュレシンジャー監督は、究極はアメリカ、その理想主義の崩壊として冷静な視点で見つめていきます。