暗くなるまで待って 感想・レビュー 4件
くらくなるまでまって
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P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-22
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
そして、有名なあのラスト。絶対絶命を悟ったスージーは、無我夢中でアパート中の電灯を壊して回る。
暗闇が、彼女を守る最後の砦となるのだ。
アメリカでこの映画が上映された時、このシーンでは、映画館中の電灯が消え、実際に客席が真っ暗闇になったそうだ。
心憎い趣向である。そういう状態でこの映画を観たら迫力は倍増だろう。
冷酷な殺し屋ロートが、盲目のスージーを容赦なく襲うクライマックスに盛り込まれた、サスペンスを盛り上げるためのアイディアの量は、半端ないものがある。
マッチとガソリン、ステッキ、そして冷蔵庫。あらゆる小道具大道具が、驚くべき展開を担う。
そして、追い詰められるスージーの絶望の演技と、名優アラン・アーキン演じるロートのサディスティックな凄み。
今観るとそこまで強烈なことは何もしていないにもかかわらず、もの凄く、非常に残虐でサディスティックな印象を醸し出す。
もちろん、それは華奢なヘプバーンの恐怖に打ち震える演技の見事さにもよるものだが、それまでの伏線がガッチリ効いているからでもある。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-22
テレンス・ヤング監督の「暗くなるまで待って」を久しぶりに観たら、かつて観た時より面白かった。
もともと芝居だった作品で、舞台がほぼアパートの中だけに限定され、緻密な脚本の妙と役者の演技で魅せる渋いサスペンスものだ。
ハリウッド製の派手なスリラーに比べると地味に思えるかも知れないが、精密に計算し尽くされた脚本は、お見事の一言。
だんだんと緊張感が高まっていき、最後には息をつかせぬ迫力で我々観る者を釘付けにする。
CGもエロもグロも血みどろもなし。これこそ美しき職人技だ。
主人公のスージーは盲目で、彼女の夫が麻薬入りの人形をたまたま預かってしまうことから、ギャングたちの抗争に巻き込まれてしまう。
要するに、彼女のアパート内に貴重な麻薬入りの人形があり、それを手に入れたいギャングたちが、あの手この手でスージーを騙す、という話である。
スージーを演じるのはオードリー・ヘプバーン、彼女を騙そうとするこわもてのギャングたちは三人。
スージーの夫は、最初と最後に出てくるだけで、彼女の力にはなれない。
彼女のヘルパーになるのは、小さな女の子一人だけだ。