アリスのレストラン 作品情報

ありすのれすとらん

アーロ(アーロ・ガスリー)はひょろりと背の高いヒッピー。しょぼくれ帽子に傷だらけのギターが、彼のトレード・マーク。ロッキー・マウンテン・カレッジに入学したが、すぐに学校におさらばして、友人ロジャー(ジェフ・アウトロー)と感謝祭を友人のアリス(パット・クイン)の所で過ごすことに決めた。彼女は亭主のレイ(ジェームズ・ブロデリック)と廃墟になった教会の鐘楼に住んで、近くにレストランを経営していた。そこには、アーロと同じような若者が、わんさといた。この一族がためたゴミを、ある日、アーロは道端の崖にすててしまった。あくる日、アーロはお人好しの警官に逮捕され、この50年間におけるこの町の最悪の犯罪人として、罰金50ドルを科せられてしまった。やがて、アーロに、日本陶器を作っているマリー(ティナ・チェン)という恋人ができた。しかし、アーロのところに徴兵検査の通達がとどいた。これを何とかのがれようと策すアーロは二日酔いのまま出頭、殺人狂を装ったが、逆に精神分析医にからかわれる始末であった。いろいろ検査されたあげく、徴兵されそうな気配になった。しかし、最終検査の時に、アーロはゴミ捨て事件の逮捕歴があることを告げた。事情は一変。彼は、軍務につくにはあまりにも破廉恥な罪を犯したとして、兵役免除。この法律と徴兵を相手にしたアーロの大奮闘のお話には、アリスのレストランと、客の顔ぶれがいつも変わる教会の話がからむ。現代のボヘミヤンともいうべきアーロのような若者たちにとって、この廃墟の教会は一時の安息所であった。しかし、こういうものはいつか消え、彼の理想も、現実の原色の色彩の中で色あせてしまう。それでもあの頃にはかわいいマリーがい、シェリイ(M・マクナラザン)がい、カレン(キャサリン・ダブニー)がい、そしてロジャーたちがいたことは、アーロの心の中から、決して消え去ることはないだろう。(ユナイト配給*1時間51分)

「アリスのレストラン」の解説

現代の吟遊詩人アーロの、ほろ苦いユーモアをたたえた彷徨。製作は「バイ・バイ・バーディー」のヒラード・エルキンズ、監督は「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン。アーロ・ガスリーのヒット曲Alice's Restaurant Massacreを原案として、アーサー・ペンとベナブル・ハーンドンが脚本を執筆。撮影は67年カンヌ映画祭でTVコマーシャル賞を獲得したマイク・ネッビア、音楽はアーロ・ガスリー、編集はデデ・アレンがそれぞれ担当。出演は、アメリカのフォーク歌手アーロ・ガスリー、テレビ・舞台で活躍、映画初出演のパット・クイン、ほかにティナ・チェン、ジェームズ・ブロデリック、マイケル・マクラナザン、キャサリン・ダブニー、ジェフ・アウトローなど。デラックスカラー、ビスタサイズ。1969年作品。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年11月7日
配給 ユナイト
制作国 アメリカ(1969)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-12

この映画「アリスのレストラン」は、アメリカのフォーク・シンガーの元祖であるウディ・ガスリーの息子で、現代の吟遊詩人と言われたアーロ・ガスリーが、実名で登場し、自身の同名のヒット曲とともに、自らの青春とその彷徨を演じていくという、ホロ苦いヒューマン・ドラマであり、ニューシネマの傑作だ。

ヴェトナム反戦で揺れる1960年代後半のラブ&ピースなヒッピー・カルチャーを、「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン監督が描いた作品。

ヴェトナム反戦のテーマと当時の若者たちのドロップ・アウト的なムードを、1960年代後半の社会風俗的な記録という角度を狙い、抑制の効いたタッチで淡々と描いていると思う。

最終更新日:2024-07-13 02:00:04

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