P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-11-14
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
騎兵隊三部作の第一作でも日本公開は最後だったジョン・フォードの隠れた名作。「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」は情感豊かな映像詩の名作だが、これは軍隊にある負の宿命を扱った主題と終始冷静なフォード演出で、厳しい人間洞察を描破する。主人公は、己の功名心に走り部下たちを道連れに、結局はアパッチ族に虐殺される悲劇に追い込む司令官。元来フォードの最良の美点である優れた構図のキャメラワークには、登場人物の真摯な姿を広い人間愛で包み込む豊かさがある。特に家族や騎兵隊など組織的集団においてフォードタッチは生かされ、他に類を見ない抒情的映像美を創造している。しかし、この作品は、実際の戦役より報道される英雄伝に固執する軍隊の虚勢をニュートラルに描いたフォードの公平な観察が特徴だ。犠牲となる騎兵隊の壮絶な死を美化せず、無謀な戦いを諦観するフォードの映画作家としての度量の偉大さに感動してしまう。私のフォード愛をさらに募らせた作品です。