サンダーボルト(1974) 作品情報

さんだーぼると

ここは西部のとある教会。黒い服をまとった宣教師が説教をたれている。そこに1台の車が止まり、降り立った男が突如、宣教師めがけて発砲した。脱兎の如く逃げる宣教師。実は宣教師とは真赤な偽りで、男の名はジョン・ドーアティ(クリント・イーストウッド)、別名サンダーボルト(雷)とも呼ばれる有名な銀行強盗だった。綽名の由来は、彼が銀行を襲撃するやり口が20ミリ機関砲で金庫に風穴を開けるという独特の手口を見せることからきていた。そしてそのサンダーボルトを追う男はレッド・レアリ(ジョージ・ケネディ)。レッドはかつてサンダーボルトと一緒に、モンタナ現金輸送会社から50万ドル強奪したが、事件の首謀者ビリー・ラムが突然心臓マヒで死んでしまい、そのためにレッドはサンダーボルトが50万ドルを持ち逃げしたと思い込んでいるのだ。だが、実は50万ドルはラムが子供の頃通った小学校の黒板の裏に隠してあった。サンダーボルトは、レッドの銃撃から危うく逃れ、逓送する最中にライトフット(ジェフ・ブリッジス)という威勢のよい若者と道連れになった。ライトフットは車の運転は抜群、女はすぐ調達といった具合で、軽い足の綽名どうりすばしっこい好漢だった。彼と組んだことから、サンダーボルトは50万ドルを取り戻す絶好のチャンスと盗んだ車で小学校に駈けつけた。だが意外なことに金が隠匿されている筈の昔の校舎に変わって、新しい校舎が建てられていた。運が悪いというか、そこに現われたのがレッドとグッディ(ジョフリー・ルイス)、銃を突きつけ分け前を要求するが、事情を聞かされ憤懣やる方なし。そしてライトフットの提案で、もう1度同じ手口でモンタナ現金輸送会社を襲うことになり、誰もいなくなる日曜日の夜、決行と決まった。警察直通の電話線を警戒し、金庫をぶち破り、大金強奪と同時に一目散に逃走だ。2度目のことだし万事がうまくいく筈だった。トランクからはみ出したグッディの衣服さえ料金係に見とがめられなかったら。パトカーのサイレンに泡をくって逃げだす強盗一味。グッディは警官の弾丸で瀕死の重体、レッドは気が狂ったのか、サンダーボルトとライトフットを滅茶苦茶に殴り倒し、車と金を奪って逃げようとしたが、結局は追いつめられ、デパートのウインドーに正面衝突してあえない最後を遂げた。一方、命からがら逃げだしたサンダーボルトとライトフットはとぼとぼハイウェイをヒッチハイク。そこで彼らに幸運の女神が奇蹟をもたらした。何と最初に奪った50万ドルが隠されている、取り壊された筈の古い校舎が、眼前に現われたのだ。モンタナ州の文化記念物として、州当局から移転され今や観光客のアトラクションになっているという。喜び勇んで50万ドルを手にする2人の姿は、いつしかハイウェイを颯爽と走るまっ白いキャデラックの上にあった。そのとき突然ライトフックの身体がくずれ落ちた。警察隊に包囲された際、気が狂ったレッドに殴られたのが今頃になってきいてきたのだ。サンダーボルトは慌ててキャデラックを停めたが、最早、彼にもどうすることもできなかった。あえない最後を遂げた今は亡きフットライトの夢をのせた白いキャデラックは、ひた走りにハイウェイを走り続けた。

「サンダーボルト(1974)」の解説

強奪した50万ドルをめぐって敵味方入り乱れて展開されるアクション映画。製作はロバート・デイリー、監督・脚本はマイケル・チミノ、撮影はフランク・スタンレー、音楽はディー・バートンが各々担当、出演はクリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジョフリー・ルイス、キャサリン・バック、ゲイリー・ブッシーなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1974年9月28日
配給 ユナイト映画
制作国 アメリカ(1974)
上映時間 115分
TV放映 2024年4月2日 テレビ東京 午後のロードショー

ユーザーレビュー

総合評価:4点★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2024-01-22

このマイケル・チミノ監督、クリント・イーストウッド主演の「サンダーボルト」は、スリリングなアクション映画の傑作だ。

教会で神父めがけて、いきなり銃をぶっ放すオープニングからラストまで、緊迫感が漂う。

中年の強盗が、以前、襲った銀行をもう一度襲撃する計画を立てる。
夢、エゴ、友情、対立。チンピラたち、それぞれの思いが交錯する。

後に「ディア・ハンター」を手掛けて大成功をおさめ、「天国の門」と「シシリアン」で沈んだ、マイケル・チミノ監督の、気迫のこもったデビュー作で、中西部の乾いた風景も魅力の作品だ。

最終更新日:2024-02-01 16:00:02

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