禁じられた遊び(1952) 作品情報

きんじられたあそび

一九四〇年六月のフランス。パリは独軍の手におち、田舎道を南へ急ぐ難民の群にもナチの爆撃機は襲いかかって来た。五歳の少女ポーレット(B・フォッセイ)は、機銃掃射に両親を奪われ、死んだ小犬を抱いたままひとりぼっちになってしまった。彼女は難民の列からはなれてさ迷ううち、牛を追って来た農家の少年ミシェル(G・プージュリー)に出会った。彼は十歳になるドレ家の末っ子で、ポーレットの不幸に同情して自分の家へ連れ帰った。ドレ家では丁度長男のジョルジュが牛に蹴られて重傷を負い、大騒ぎしているところだった。ポーレットはミシェルから死んだものは土に埋めるということを始めて知り、廃屋になった水車小屋の中に彼女の小犬を埋め十字架を立てた。墓に十字架が必要なことを知ったのも彼女にとって新知識であり、以来彼女はこのお墓あそびがすっかり気に入ってしまった。ジョルジュは容態が悪化して急死した。そのとき、隣家のグーアルの息子フランシスが軍隊を脱走して帰って来た。グーアル家とドレ家は犬猿の仲だったが、フランシスとドレの娘ベルトとは恋仲であった。ジョルジュの葬式の日、ドレは葬式馬車の十字架がなくなったことに気づいたが、これはミシェルがポーレットを喜ばすために盗んだのだった。ミシェルは更に教会の十字架を盗もうとして司祭にみつかり、大叱言を喰った。しかしミシェルとポーレットはとうとう教会の墓地まで出かけて、たくさんの十字架を持ち出した。ジョルジュが死んではじめての日曜日、ドレ一家は墓参に出かけたが、ジョルジュの墓の十字架がなくなっているのを見て、ドレは、グーアルの仕業にちがいないと思い込み、そこへ来たグーアルと大格闘をはじめた。しかし司祭の言葉で盗んだのはミシェルだとわかり、ドレはミシェルが何のために十字架を盗んだのか理解に苦しんだ。翌朝、ドレ家に二人の憲兵が訪れた。ドレはてっきり十字架泥棒がばれたものと思ったが、実はポーレットを孤児院にひきとりに来たのだった。ミシェルの必死の懇願にもかかわらずポーレットは連れさられた。雑踏する駅の一角、ポーレットは悲しく母を呼び求めて、ひとり人々の間を駈け去って行った。

「禁じられた遊び(1952)」の解説

「ガラスの城」のルネ・クレマンが監督した一九五二年作品。戦争孤児になった一少女と農家の少年の純心な交情を描くフランソワ・ボワイエの原作小説を、「肉体の悪魔(1947)」のコンビ、ジャン・オーランシュとピエール・ボスト、それにクレマンが共同で脚色した。台詞はオーランシュ、ボスト、原作者ボワイエの三人。撮影は「ドイツ零年」のロベール・ジュイヤール、音楽はナルシソ・イエペスの担当。出演者はクレマンが見出したブリジット・フォッセーとジョルジュ・プージュリーの二人の子役を中心に、リュシアン・ユベール、スザンヌ・クールタル、ジャック・マラン、ローレンス・バディら無名の人たち。なお、この作品は五二年のヴェニス映画祭のグランプリとアカデミー外国映画賞を受賞した。2018年9月1日より2Kデジタル版(日本語字幕新訳)を上映(配給:パンドラ)。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督ルネ・クレマン
原作フランソワ・ボワイエ
出演ブリジット・フォッセー ジョルジュ・プージュリー リュシアン・ユベール スザンヌ・クールタル ジャック・マラン ローレンス・バディ Andre Wasley アメデ ドニーズ・ペロンヌ Louis Sainteve
配給 東和
制作国 フランス(1952)
上映時間 87分
公式サイト http://www.pan-dora.co.jp/forbidden_games/

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-11-09

第二次世界大戦は、さまざまな映画となって描かれてきましたが、この「禁じられた遊び」ほど、戦闘そのものをほとんど扱わないで、”戦争の悲劇”を描き切った映画を他に知りません。

ルネ・クレマン監督は「鉄路の戦い」や「海の牙」など、戦争の実態を透徹したリアリズムで描いてきましたが、この作品ではフランスの農村の人々の生活の中に”戦争の悲劇”を浮かび上がらせていると思います。

機銃掃射で両親を失い、避難民の群からもはぐれた少女ポーレットが、農家の少年ミシェルに助けられ、この二人の目を通して大人たちの世界、戦争の時代が描かれます。

ナルシソ・イエペスの哀愁を帯びたギターの旋律とともに、ポーレットが「ミシェル、ミシェル」とつぶやく言葉が、いつまでも私の脳裏から離れません。

最終更新日:2024-03-12 15:48:57

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