座頭市あばれ火祭り 作品情報

ざとういちあばれひまつり

喧嘩と聞いて助っとに加わったものの相手がただの百姓で、闇の年貢の強制的な取り立てと知った座頭市は、思わず仕込杖で子分たちを斬り捨ててしまった。ところが、その子分衆が、盲ながら関八州に睨みを利かす暗黒街の将軍、闇公方の組織につながるものであったから、座頭市を必ず消すようにという厳命は一夜のうち全国に伝わった。市はその夜、妾市で、もと旗本の若妻だったという女を助けた。銭金に物言わす卑しい商人の手に落ちたのが、市には我慢ならなかったのだ。だが、このあと土蔵の二階で共に一夜を過したことから市は夫の浪人からも、生命をつけ狙われる羽目となった。暗殺指令が出ているなどとは夢にも思わぬ市は、黒子の貸元の家に襲名祝いにいくのだが、黒子の子分に案内された湯屋で市はいきなり十数人の刺客に襲われた。湯舟に潜って辛じて第一撃をかわし、斬り伏せてしまうが長居は無用の殺生を重ねるだけと、市はふたたび旅に出る。町はずれには意外にも、襲名披露の祝い盆で隣りに坐り合わせて以来、探し求めていたお喜代が旅姿で市を待っていた。盲は愛に飢えている、腕の立つ男よりも女がいいと闇公方が放った刺客として市を殺す使命を帯びているが、市の献身的な愛情にほだされどうしても刺すことができなかった。お喜代の変心を知った闇公方は、親兄弟も同罪と、一度は後継者に指命した右の貸元を捕えて、お喜代の呼び戻しを図る一方、闇公方は市を策略に陥れるべく飛脚を送った。そうとも知らず、花火大会の招待を受けた市は、余興にと進められ、池の真ン中、浮き御堂のような盆ござにと進んでいくが、これが罠と気付いたときには、渡しの板は外され、迫った火槍を切り捨てたはずみに、池の表は文字どおり火の海となった。水に潜って対岸に這い上った市は、ものも言わず阿修羅のごとく暴れ廻った。狼狽した闇公方が右の貸元たちを人質にしたためさすがの市も仕込杖を手放さざるを得なかったが、次の瞬間、市の隠し持っていた火箸が見事に闇公方の首を貫いていた。翌日、市は河原で浪人と対決したが、浪人の気魄はすさまじく、勝負は相打ちのように見えたが、倒れたのは浪人の方だった。

「座頭市あばれ火祭り」の解説

座頭市シリーズ二十一本目。脚本は「忍びの衆」の山田隆之と脚本初執筆の勝新太郎が共同であたり、監督は「兇状流れドス」の三隅研次。撮影は「座頭市と用心棒」の宮川一夫が担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年8月12日
キャスト 監督三隅研次
原作子母沢寛
出演勝新太郎 仲代達矢 大原麗子 ピーター 森雅之 西村晃 吉行和子 田中邦衛 近藤洋介 金田龍之介 なべおさみ 長沢純
配給 ダイニチ映配
制作国 日本(1970)
上映時間 96分

ユーザーレビュー

総合評価:4点★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2023-11-13

「座頭市あばれ火祭り」は、ほとんどセリフなしで、ミエを切りまくりの仲代達矢の演技が、とにかく凄い。

加えて007の悪役級の貫禄を見せる、名優の森雅之の闇公方の素晴らしさ。

勝新太郎が脚本に参加し、盲人同士の囲碁にサイコロ勝負、自然の音や匂いを強調した、三隈研次監督の演出など、長年、座頭市を演じた男でしか知り得ない"市のセンス"が充填された傑作だ。

名匠・宮川一夫カメラマンによる、意外にも若々しい撮影で、大原麗子とピーターが美貌を競っているのも微笑ましい。

最終更新日:2023-11-23 16:00:02

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