かげろう 作品情報

かげろう

さまよえる魂が出会った束の間の夢の世界

第二次世界大戦最中の1940年、戦火を逃れてパリから南ヘ向かう人々の列を、ナチス・ドイツ空軍の機銃掃射が容赦なく襲う。幼い息子と娘を連れた未亡人のオデール(エマニエル・ベアール)は、恐怖と疲労から半ば放心状態で立ち往生してしまう。そこへ突如現れた見知らぬ若者(ギャスパー・ウリエル)が親子を窮地から救い出す。イヴァンと名乗る若者は、オデールたちを安全な森の奥へ誘う。空き家となっている他人の屋敷でオデール親子とイヴァンの奇妙な共同生活が始まるのだった…。

「かげろう」の解説

カンヌ映画祭常連の監督と主演女優が組んで、2003年のコンペ部門に出品されたのが本作。ベアールは疲弊しきった未亡人から、子どもたちを正しく導こうと奮闘する母親、成熟したおとなの美しさで17歳の孤独な青年を魅了する女まで、ひとりの人間の持つ複雑でアンバランスな様々な顔を見せてくれる。そのベアールと堂々と渡り合うのは、フランス映画界期待の新星ギャスパー・ウリエル。彼が演じる粗野だが幼さの残る青年は、不遜なまでのサバイバル能力を発揮しながらも、精神的な脆さを隠し切れない。

彼らは別々の世界からの哀しい逃亡者で、束の間、外界から遮断された夢の楽園で至福の時を過ごすが、否応無く残酷な現実へと引き戻されてしまう。名匠アンドレ・テシネがつきつける現実の厳しさは、深くずっしりと心に残る。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2004年1月24日
キャスト 監督・脚本アンドレ・テシネ
出演エマニュエル・ベアール ギャスパー・ウリエル グレゴワール・ルプランス・ランゲ クレメンス・メイヤー
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
制作国 フランス(2003)
年齢制限 R-15
上映時間 95分

ユーザーレビュー

総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2019-10-05

1940年ドイツの攻撃によりパリから脱出した子連れの女教師が出会った感化院脱走少年との束の間の触れ合いを描いた映画。ドイツ占領下の過酷な時代背景は、名画「禁じられた遊び」と同じだが、内容は「ルシアンの青春」に類似した男女の恋愛悲劇になっている。年上の未亡人を演じるエマニュエル・べアールの揺れ動く女性心理が、丁寧で細かい表情変化で説得力を持つ。14歳の長男とカエル遊びに夢中の長女の設定も良く、少年との関係が戦時下の限られた状況であることを印象付ける。対して少年役のガスパール・ウリエルに、もう少し幼さ故の危うさがあれば良かったと思います。人間ドラマと云うより、べアール主演の女性映画としての価値は高い。

最終更新日:2019-10-10 16:00:08

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