日時:5月14日(土)
場所:新宿シネマカリテ SCREEN1
登壇者:市原隼人、土村芳、佐藤大志、綾部真弥監督
劇場公開がスタートし、各地で満員御礼の回も出ている映画『劇場版 おいしい給食 卒業』の公開を記念し、5月14日(土)に都内劇場で舞台挨拶が行なわれ、主演の市原隼人をはじめ、土村芳、佐藤大志、綾部真弥監督が登壇した。
この日は、司会を綾部監督が担当。シリーズを通じてキャストと向き合い、共に作品を作り上げてきた監督ならではの視点で質問をぶつけ、ここでしか聞けない答えを引き出していった。
2020年3月に公開された『劇場版 おいしい給食 Final Battle』は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、公開記念舞台挨拶が中止となっており、本作が無事に公開を迎え、こうして観客の前で舞台挨拶ができることに市原をはじめ登壇陣一同、喜びもひとしおの様子。
市原は改めて本作について「ひとえにこの作品を応援してくださるファンのみなさまの気持ちの賜物です。これ以上ない感謝の思いであふれています。本当に、本当に、本当にありがとうございます!」と思いを口にする。
前回の完成披露上映会の際には、こらえきれずに壇上で思わず涙した市原だが、この時のことを振り返り「僕らが生きている映画やドラマの世界は、衣食住と違って、なくても(社会は)成立してしまうものです。だからこそ、必要とされるため、現場で試行錯誤しながら、作品の存在意義を全ての部署のスタッフ、共演者と見つめ続けてきました。この作品は、生まれたての赤ん坊から100歳を超えるご年配の方まで楽しめる“キング・オブ・ポップ”にしたいと思って制作しました。久々にみなさんとお会いできたのが嬉しくて、涙がこらえられなくなってしまいました」と照れくさそうに笑みを浮かべた。
綾部監督は、本作におけるお気に入りのシーンとして、市原演じる甘利田が、いとうまい子演じる“給食のおばさん”牧野から、試食会のプリントを渡されるシーンを挙げ「プリントを渡されて、(手を)離さない。プリントがちぎれそうになるくらい、力強く握ってもらったんですけど、腕の血管が凄かったです! カットをかけて『いい血管だったね!』と言ったら『監督、芝居も見てください』と言われました(笑)」と明かし、市原の浮き出た血管を絶賛する。
甘利田のライバルである生徒・神野ゴウを演じた佐藤は、本作で心に残っている甘利田との給食対決を尋ねられると「甘利田のダイブですね。いきなりのダイブで心の準備ができてなくて、ビックリしました(笑)」と感嘆する。
市原はこのシーンについて「すごくつらかったです(苦笑)。やろうと思ってなかったんですけど、大志が『シーズン1』だと素直に笑ってくれていたんですけど、3年も一緒にいると、大人になってしまって自分を抑えようとするので、それが悔しくて、ビックリさせたくてダイブしちゃいました(笑)」と明かす。
2人の最後の給食シーンについて、佐藤は「甘利田先生との最後の給食を楽しもうという気持ちでした。演じてて、『これでお別れなんだ』と悲しくなってきて、改めて絆を感じました」としみじみと語る。
そんな2人の対決について、土村は「2人のバトルも成長していて、バトルを経て高め合っているのを感じました。2人を見ていると愛おしく思います」と温かい言葉を贈る。土村演じる早苗先生は、本作を通じて甘利田に心惹かれていくが、そんな彼女の心理について、土村は「出会って最初は混乱すると思います(笑)。でも、難しく考え過ぎず、そのまま受け止められるようになると、甘利田先生の真っ直ぐさ、揺るぎなさを感じられて、とっても魅力的だと思います」と分析する。
改めて、佐藤に「今だから市原さんに聞きたいこと」を尋ねると「なんでそんなに筋肉があって動けるんですか? なぜそのポーズで止まれるんだ? と毎回不思議でした」と直球の質問! 市原は「2歳から器械体操と水泳をやってて、体力があるし、空手やボクシングもやってました。現場ってハードなので、まず体力です。あとは心身ともに、いつも主観と俯瞰を切り替えられるような気持ちを自分で作っています。現場に入ると食事制限をして、僕はうどんしか食べないし、脂ものも一切入れないでルーティンでつなげていきます。自問自答の世界なので、自分で自分を楽しんで、誰かのせいにせず全てを自分のせいにしていくと『自分が変われば全てを変えられる』と思えるようになって、全てが楽しくなってきました。そのひとつとして、鍛えています」と真摯に回答。佐藤は「僕も今日から鍛えます!」とうなずいていた。
舞台挨拶の最後に市原は、本作の主題歌「君の花」の歌詞を引用しつつ「悲しみに打ちひしがれて、うまくいかないこともたくさんあるし、膝を抱えて泣くこともあると思うけど、乗り越えられない壁はないと思っています。誰かが決めたルールやしがらみに縛られそうになって、前に行けなくなった時も、みなさんはみなさんの道を歩んでいただきたいと思います! 涙で前が見えなくなっても、必ずこの『おいしい給食』という作品と僕らが、みなさんが立ち上がるまで見守っていますので、ぜひみなさんの活力となることを心から願っています!」と呼びかけ、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
映画『劇場版 おいしい給食 卒業』は全国公開中。