第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品作『Ballad of a White Cow』(英題)の邦題が『白い牛のバラッド』に決定し、2022年2月18日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開されることが決定した。
愛する夫を死刑で失い、ろうあの娘を育てながら必死で生活するシングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)。1年後に突然、夫の無実が明かされ深い悲しみに襲われる。賠償金よりも判事に謝罪を求める彼女の前に、夫の友人を名乗る男レザ(アリレザ・サニファル)が現れる。ミナは親切な彼に心を開き、3人は家族のように親密な関係を育んでいくが、ふたりを結びつける“ある秘密”には気づいていなかった…。罪と償いの果てに、彼女が下した決断とはー。
A・ファルハディに続く新たな才能が誕生!
気鋭の女性監督が放つサスペンス傑作
本作は第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞、観客賞にノミネートされ「アスガー・ファルハディとモハマド・ラスロフの傑作と並ぶ」(―IndieWire)、「何度も感情を揺さぶられる」(―Screen Daily)、「罪と責任が緻密に構成されたドラマ」(―Little White Lies)と熱狂を呼び、イランの名匠に並ぶ新たな才能と高く評価された。監督を務めたマリヤム・モガッダムとベタシュ・サナイハは、2018年の『The Invincible Diplomacy of Mr Naderi』(英題)に続き、本作が2度目の共同監督。モガッダム監督は脚本と主演も兼任し、シングルマザーとして娘を育てようと奮闘しながら、理不尽な社会に立ち向かう女性を演じきった。強さと弱さを併せ持ったリアリティ溢れるその姿は「孤独と決断の葛藤の間で揺れ動くミナの役を見事に演じている」(―Festival Scope)「モガッダムは素晴らしいの一言に尽きる」(―Cineuropa)と絶賛の声が上がっている。
最愛の人を冤罪で失ったとき、あなたならどうしますかー
彼女が下した決断が魂を揺さぶる
センセーショナルな大反響を呼んだ『エル ELLE』『プロミシング・ヤング・ウーマン』に続き、理不尽に立ち向かう女性の姿を巧みに描いた本作。女性、とくに未亡人が生きづらい敬虔なイスラム社会で、判事に謝罪を求め続けたミナが、真実にたどり着いたときに下した決断は、あらゆる観客の脳裏に焼き付いて離れない。
また、イランは死刑執行数が中国に次いで世界第2位の国(アムネスティ・インターナショナル調べ)である。近年では第70回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞で話題を呼んだ『悪は存在せず』など死刑制度をテーマにした映画が数々と作られている。なお、本作はイラン政府の検閲により正式な上映許可が下りず、自国では3回しか上映されていない。厳罰的なイランの法制度を背景に、社会の不条理と人間の闇をあぶりだした本作は、世界的には今や少数派である、死刑制度が存在するここ日本でも大きな問いを投げかける。
緻密な心理描写、そして緊張感あふれる音と映像で描かれる、極上のサスペンス。罪と償いの果てに彼女が下した決断とはー。