2019年度ベルリン映画祭のジェネレーション部門で初公開され、アムネスティ・インターナショナル映画賞と平和賞を受賞。その後各地の映画祭で上映を重ね山形国際ドキュメンタリー映画祭にて優秀賞を受賞した『これは君の闘争だ』(原題:Espero tua (re)volta 英題:Your Turn)、映画内では学校占拠、道路封鎖、学生たちが自ら学校を守るために奮闘するテン年代のリアルな学生運動を描いており彼らの姿は映画を観ているものに対しても高揚感と躍動感を与えてくれる。
公開まで1か月を切り、公開日決定!そして、新ビジュアルの完成と共に各業界で活躍する方々より応援コメントも公開!ラッパーのダースレイダーや哲学・思想史研究等をする森元斎をはじめとし、「明け方の若者たち」等でも知られる小説家・カツセマサヒコやリーガルリリーのたかはしほのかなど、各分野で活躍する“いま”をみつめアートで届けるクリエイターによる、「われわれ、やるしかなくない?」「いま、ここにも届きました」「パワーをもらい日常を見つめなおすきっかけとなった」など多くの称賛の声と共に、応援コメントが続々と到着。
高校生たちの言葉(ラップ)で紡ぐ、青春群像ドキュメンタリー!
初の極右政権成立にゆれるブラジル社会。これは“わたし”の闘争だ。
2013年6月、ブラジル・サンパウロの路上で公共交通料金賃上げに対する大規模な抗議デモが起きた。初めはバス料金20セントに対する要求だったものが、次第に政治に対する深い嫌悪感のなかで、物価上昇や重税、LGBTQ+や女性の権利、人種差別など、様々な問題に対する抗議へと広がっていった。そして2015年10月、サンパウロの高校生たちが公立学校の予算削減案に抗して自らの学校を占拠し始めた。この運動はブラジル全土を巻き込み、翌月には200以上の学校が占領されるまで発展、ブラジル社会で高校生たちによる大きな変革が起きようとしていた。しかし、その期待は学校占拠から3年後、ブラジル初の極右政権が成立するとともに裏切られることになる。たび重なる汚職や治安悪化によって、14年間続いた左派政権は群衆の支持を失い、「ブラジルのトランプ」と称されたジャイル・ボルソナロにその座を明け渡したのだった。本作はそんな激動の2010年代ブラジル社会を学生たちの視点から描いたドキュメンタリーである。当事者である3人の高校生が当時の運動を振り返りながら、それぞれの意見をヒップホップ・ミュージックに乗せラップバトルのように衝突させていく。進歩的な公共政策の下で育った最初の世代である彼らが、混迷化し、そして急速に右傾化していくブラジル社会を糾弾していく過程で、学生たちの社会に対する希望と不安とが浮き彫りになっていく。
この映画を見て頭を抱えた。成功だけを描いた作品ではなく、闘争ゆえに失ったものや、訪れてしまったものも生々しく映し出す。自分自身は?間違っていないだろうか?だが、 足は止めない。彼らのように。
REINO(ラッパー)
眼前の敵には負けても、実は考え方を変えれば、勝ってしまっていることがある。政治家どもがいかなる奴らなのかを世界に知らしめ、高校生の課題が何なのかを知らしめることができる。闘争は決して負けないのだ。
森元斎(長崎大学教員、哲学・思想史研究)
遊撃的に繰り出される3つの声のナレーションに一瞬でひきこまれ、変幻自在の映像にひたすら「かっけえ……」とつぶやく。『チリの闘い』の「同志たち」に勝るとも劣らない魅力的な人々。しかし、運動への幻滅やトラウマをにじませながらそれでも路上に立つ彼らの情動をカメラがミクロに捉えるとき、単なる羨望ではない、私のなかのなにかが共振する。人々の身体と言葉がつくりだす「特別な場」を記憶に刻む、歴史的な傑作だ。
新谷和輝(ラテンアメリカ映画研究者)
三人の若者が、自分たちの社会運動を振り返り、語る。政治に絶望し、嘆くだけで終わらせない。私たちは生きていかなければならない。声を上げれば社会は変わる、声は波紋となり社会を震わせる、その希望に賭けよう。さあ、自分の言葉で語ろう。これは私の闘争だ。
西原孝至(映画監督)
ビート!ビート!ビート!
この作品にはビートが溢れている。最初から最後までリズムが鳴り響く。
「誰もが唇と身体を触れ合わせたくてドキドキ。夜通し踊ってイケイケ」、これこそがビートによってもたらされる到達地点だ。学生たちはビートによって社会の外側まで躍り出て、異性も同性も年齢も国籍も関係なく混ざり合い、愛し合う。この感覚をお互いに確かに感じあってから彼らは社会に戻っていくのだ。
ダースレイダー(ラッパー)
燃えるような音楽・実践・アジテーション、マジで全部他人ごとじゃなかった。何も手元になくたって、魂と肉体を持っているならできることがある。
われわれ、やるしかなくない?
高島鈴(ライター、アナーカ・フェミニスト)
ドキュメンタリー映像とラップ音楽の不思議なコンビーションが癖になる。エネルギッシュな彼らのムーブメント、もう大人には止められない! 同じ学生という立場から、パワーをもらい日常を見つめ直すきっかけとなった。
charo(映画イラストレーター)
冒頭、映画の制作会社のロゴが続くお馴染みの映像に重ねられた声に、惹きつけられる。ブラジルでの公立学校への予算削減に反対する運動を主導した、かつての学生たちの声だ。生活の活気と生々しい闘争の痛みまで、過去を冷静に見定めた希望と不安の声。それは、未来につながるラップのマイクリレーみたいで、沈鬱に対抗するかのよう。
鈴木 みのり(ライター)
日本から見ると地球儀の反対側にある国ブラジルの高校生たち。
人々は言葉を音に乗せて、戦列歩兵で進んで行きます。
その足音は若くて美しく残酷な命の歌と共に確かに刻まれていきました。
陸と空は、繋がっています。いま、ここにも届きました。
たかはしほのか (リーガルリリー)
疾走感あふれる彼女たちの声は、理不尽にまみれた毎日を黙認せず、立ち上がる勇気を与えてくれる。
学校を占拠し、自分たちの描く「自由」を実践して暮らすその様子は未来への希望そのものに思えた。
カツセマサヒコ(小説家)