日時:4 月 3 日(土)
場所:渋谷 HUMAX シネマ
登壇者:前田弘二(監督)、高田亮(脚本)
今もっとも注目と期待度の高い、成田凌、清原果耶が W 主演し、『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』の監督・前田弘二、脚本・高田亮コンビによるオリジナルストーリー『まともじゃないのは君も一緒』。数学一筋<コミュニケーション能力ゼロ>の数学講師・大野が、知識ばかりで<恋愛経験ゼロ>の教え子・香住によって大きく変貌を遂げていく様と、全く噛み合わない二人が繰り広げる”普通じゃない”ラブストーリー、さらにはテンポよくはずむ会話劇の面白さや常識にとらわれないキャラクター、毒っ気がありながら、ユーモラスかつ予測がつかない突飛な展開で観る者を虜にし、絶大な支持を集める本作。映画「まともじゃないのは君も一緒」舞台挨拶付き上映会が 4 月 3 日(土)に渋谷 HUMAX シネマで実施され、監督の前田弘二、脚本の高田亮が登壇した。
MC の呼び込みによって、前田弘二(監督)、高田亮(脚本)が登場。早速、公式 Twitter に寄せられた質問に答えていく企画に入り、「デート風な待ち合わせシーンで、遠くから「康臣〜」と呼んで駆け寄る香住がめちゃめちゃ可愛くて好きです。大野康臣と秋本香住、この名前が絶妙にしっくりくるのですが、役の名前はどうやって決めるのでしょうか?」と質問が読み上げられると、前田は「よく一緒に(高田さんと)映画を作っているが、最初に苗字をつけてその後(高田さんに)名前を考えてもらったりしてますよね」と語りかけると高田は「監督が全部考えたと思っていて、あ・・思い出した(笑)苗字だけでしたっけ?(笑)」と切り返し、前田は「大野って苗字は私がつけて、高田さんが康臣をつけて・・香住だけ、私が秋本香住ってつけたんだ!」と回想。高田は「そうそう、あらすじ考える時に、最初に名前だけくれたんだよね」と切り出し「もしかしたら私が考えたのかもしれないが、(大野は)数学が得意だからきっと親も凝った名前をつけるんだろうな(笑)という感じだったと思います」と振り返った。
脚本作りにおける苦労した点を訊かれた高田は「大野は何も知らないので、どこまで知っている感じで会話を書くのかが一番難しくて、香住が物を知ったような口を聞けば、彼も喋るだろうという感じはあった」と述懐。前田は「最初にセリフだけ作って、ずっと噛み合わないものを永遠書き続ける感覚というか…」と切り出すと、高田は「めちゃくちゃ難しくて。(笑)でも何とか書きましたけど(笑)」と苦労した様子をにじませた。MC から、「今回設定だけ作って(監督が)高田さんにまる投げしたんですか?(笑)」と聞かれると前田は「まる投げですね(笑)」と続けて「忘れたころに 30 ページぐらいのプロットが送られてきて、それがほとんど脚本に近くて 8 割がたセリフで(笑)それが面白かったので、ほぼその状態のまま撮影しました(笑)」と回想。
次に、「冒頭の予備校のシーンで、香住が大野へ向けて、ペンでシッシと振り払うジェスチャーが何度見ても小気味よく面白いです。台本どおりなのですか?」という質問に前田は「あれは、現場ですね(笑)二人の芝居は面白いし上手くて、(二人の)空気が出来上がる前に清原さんが出してきた仕草が良かったですね。」と明かした。アドリブのシーンがいくつかあったという話題になり高田は「(陶器屋のシーンで)成田さんが『重くもなく、軽くもなく〜』というところですね(笑)」と例をあげ、前田は「そこまでがセリフだったんですよね!その後はアドリブで(笑)」と撮影秘話を語った。さらに高田は「ラブホテル前の宮本(小泉孝太郎)が美奈子に蹴られた後に言い放った『膝蹴りかよ(笑)』は小泉さんのアドリブです(笑)」と小泉さんの演技をべた褒めしていた。
次に、「清原果耶さんが役づくりに関して、『衣装のレパートリーが多かったので、香住の気持ちに合わせた衣装を着られることが助けになった』と仰っていたのですが、シーンごとに香住の気持ちに寄り添った衣装を、清原さんと相談して選ばれていたのでしょうか?」と質問が読み上げられると、前田は「こういう人だから、こういう衣装と決めすぎずにいきたいとは思っていました。衣装合わせの時にしっくりくるものを決めていきました。」と回答。高田は「香住は一つのことに真っすぐになるタイプだから、服には頓着しないんじゃないかという意見もあったりしました。たまたま衣装合わせを見学しましたが、監督のイメージとしては、あまり頓着しないけどそれなりにお洒落にも興味のある人だろうということで衣装は決めていましたね。」と 2 人で当時を振り返った。続けて前田は、大野の衣装がとにかく難しかったと漏らし、「高田さんの脚本のト書きに、“スーパーの2階で70%オフで売っていたジャケット”と書いてあって、どういうジャケットなんだろう…」と当時の高田の難しいオーダーを笑いながら振り返りつつ、選ぶのに苦労があったことも語っていた。そして今回、予備校内での大野のトレードマークである白衣に話が及ぶと、前田が成田とともに予備校に見学に行ったエピソードを披露。「予備校を見学したらそこの講師の方々が白衣で、すごく雰囲気が良かったんです。なんかスーツだと(生徒との間に)距離がありすぎてしまい、白衣だと相談しやすい感じがしたんです。予備校にいる生徒の雰囲気も香住みたいな感じだったんですよ!大野とフランクにやりとりしているような雰囲気がすごく良くて!」と、あの白衣は成田と共に訪れた予備校リサーチの賜物だったことも明かした。
最後に、「冒頭の森の中で、1 人佇む大野先生。とても印象的で好きな場面です。劇中で美奈子さんに森のお話をしてる時にここの大野先生の横顔を思い出します。なぜこの場面を冒頭に入れようと思ったのですか?」という質問に高田は「元々そのシーンはなくて書き進めていくうちに、岡潔さんという数学者の本を読んでいたら、やたら自然のことが出てきて、それを生かしたんですよね。監督ともおとぎ話みたいにしたいと話し合って」と答えると。続けて前田も「森の妖精が人間社会で生きて、普通を知って、仕事するけど・・『もういい、普通は!』って森に去っていく・・」と、童謡のようなイメージがあったことを明かした。2 人のトークに熱がこもり、あっという間にイベントは終わりの時間に。最後にお気に入りのシーンを聞かれた前田は「女子高生たちが集まって話しているシーンで、『油そば食べにいかない?』というセリフのチョイスは面白かったですね(笑)」と改めて高田の脚本を絶賛し、大盛況のままイベントは幕を閉じた。