日時:9月15日(火)
場所:オンラインイベント
登壇者:藤井道人監督、醍醐虎汰朗 MC:奥浜レイラ
小説すばるで新人賞を受賞するなど、多くの読者を魅了する作家・野中ともその大人気小説「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊)待望の映画化。迷える少女の不思議な出会いと成長をフィルムに収めたのは、第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』の監督・藤井道人。主人公、14歳の少女・大石つばめを演じるのは、2021年春NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」 のヒロインに抜擢され、今最も注目を浴びる若手実力派女優・清原果耶。本作が映画初主演!藤井道人監督とは『デイアンドナイト』に続くタッグとなる。つばめの前に現れた老婆・星ばあ役には、数々の映画賞に輝き、『SAYURI』でハリウッド映画初出演以降世界で活躍する実力派・桃井かおり。つばめが恋するお隣の大学生役に、NHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演するなど活躍の場を広げる伊藤健太郎。つばめの父役には日本を代表する俳優・吉岡秀隆、つばめの義母役には人気実力を兼ね備える女優・坂井真紀。そして水野美紀、山中 崇、醍醐虎汰朗など注目のキャストが集結した。主題歌は、透明感のある歌声とその詞世界でファンの心を掴む、シンガーソングライターCoccoの書下ろし楽曲「今とあの頃の僕ら」。本作主演の清原果耶が、伸びやかな歌声でヒロインの心の旅を爽やかに歌い上げた。星ばあが教えてくれたあかるい屋根の秘密。懐かしくて愛おしい、大切な心を探す奇跡と愛の物語。9/15(火)に笹川マコト役の醍醐虎汰朗、藤井道人監督が参加したオンラインティーチインイベントイベントが行われた。
MCの呼びかけによって画面上に醍醐虎汰朗と藤井道人監督が登場。
早速、藤井監督は前作『新聞記者』とは異なるジャンルの作品にチャレンジした理由について聞かれると「『新聞記者』の方がイレギュラーで、自分の血が入っているというわけではなくて、20代から30代になって考えることも変わってきてどうやったら自分の周りの人が幸せになるかなと思ってこういう温かい映画を撮りたいなと思うようになりました」と話し、オーディションで選ばれた醍醐について藤井監督は「オーディションですごく覚えてることがあって醍醐君がオーディション会場に入ってきて“醍醐です。(役を)獲りに来ました”って第一声で言って(笑)でもそれが大好きで、やっぱり僕らも命かけて映画を作っているので命かけてオーディションに来てくれたんだなって思って、それも決め手の一つでした。もちろんお芝居もすごくよかったです!」と話し、醍醐は「なんでそんなこと言ったんだろうなー(笑)」と恥ずかしそうな様子。醍醐は役作りについて聞かれると「中学生の役だったので、あんまりハキハキしゃべらないようにはしていましたね。あとは藤井さんと色々話しながら、とことんリアルなものを追求してつくりました」と話した。また酷暑の中の撮影については「倒れちゃいそうなくらい暑かったですけど、(清原)果耶ちゃんと一緒に氷嚢を頭にのせたりして、暑かったけどしんどかった思い出みたいなのはこの作品はなくて、毎日遊びに行ってるような感覚で楽しんでやれました」と話した。またSNS上などで話題のファミレスのシーンについて「果耶ちゃんが自分が持って行ったプランを全部崩しても大丈夫な人というか、なにをしても返してくれる方なのであの場の空気を本当に楽しんでやれました」と話した。
そして、ティーチインに参加した視聴者からの質問に直接答えるコーナーへ。
Q&Aコーナー
Q.監督が撮る映画は人のヒリヒリする部分を丁寧に描きながら最後には人の思いや温かさに触れる作品が多いなと思います。監督ご自身も人やご縁をとても大切にしていると思いますが大切にしたいなと思ったきっかけは?
A.藤井:僕は自分に何か秀でた才能があるとかは思っていなくて、いろんな人のおかげで映画が撮れていると思っているので、人を大事に、仲間を大事にって人間を大切にしたいなっていうのはあります。
Q.これまでの作品とは違う今作を作るうえで監督が意識したところは?
A.藤井:今回はオリジナルではなく野中ともそさんの原作があってのだったので、その原作の雰囲気は大事にしようってのは一番にありました。あとは自分が今世の中に伝えたいことを複雑にではなく純度高く届けられるようにしたいと思っていました。
Q.特にお気に入りのシーンは?
醍醐:雨降らしのシーンです。お気に入りのシーンというより、思い出に残っているシーンなんですが、雨の量が尋常じゃなくて(笑)印象に残っていますね。
藤井:クラゲの水族館のシーンですかね。あのシーンが撮れたことは自分の中で本当に大きかったです。あの丸い水槽っていうのがすごく大事で、地球のような丸い中でクラゲが漂っているっていうのを撮りたくて、無理を言って山形県の水族館まで撮りにいかせてもらいました。あとは糸電話のシーン。あそこの糸電話はつばめの想像の中のもので、実は存在していなくて。つばめは糸電話をしたことがなくて、してみたいと星ばあに話すシーンがあるんですけど、糸電話をしたことないから糸がたるんでいたら声が聞こえないということもわからない。だからあえて糸をたるませていたんです。
Q. つばめにとっての星ばあのようにお二人がこの人に出会って考え方が変わったという存在は?
藤井:大学の同級生の山田君という人がいて、実は今の会社の社長なんですが(笑)彼に出会っていなければ、今こうやって映画は撮れていないだろうなと思います。
醍醐:マネージャーさんですかね。芸能界に入るまで本当に礼儀もなにも出来ていなくて、今のマネージャーさんに出会って一からすべて教えてもらいました。いつも怒られているんですけどね(笑)
Q.本当に素敵な作品でもう一度観たいなと思うのですが、2回目観るならここに注目してほしいというポイントは?
醍醐:やっぱりファミレスのシーンで、一回目見ていない方に注目して見て欲しいです。一回目つばめの方を見ていたら二回目は笹川で。逆も同じように。本当に細かいお芝居が随所にあるので、是非見て欲しいです。
藤井:映画って本当に色々な解釈が出来ると思うんですけど、もし仮に星ばあと亨が実は出会って話していたら、とかそういうことを考えてみてもらうと面白いかもなと思います。星ばあがつばめの手紙を取り返せたのは実は星ばあが亨に直接頼んでいたからかも、とかそういうことを考えながら観てもらうと楽しいかもしれないです。
Q.映画を観て家族の大切さを改めて実感したと同時に一人暮らしのさみしさに慣れないのですが、なにかコツはありますか?
醍醐:僕は最近アロマキャンドルを買いました(笑)キャンドルをつけて、好きな音楽を聴いたりとか。そういう風に趣味に没頭したりするといいかなって思います。
藤井:公園行ったり美術館に行ったり、外に出るといいかなって思います。外に出ないと新しい出会いはないかなと思うので。
そして最後に藤井監督は「僕は映画をちゃんとアナログに届けたいなと思うので、コロナが落ち着いたらまた皆さんのもとへ舞台挨拶とかで直接映画を届けられるといいなと思います。今日は本当にありがとうございました」と醍醐は「本当は直接顔を見ながら話したかったのですが、でもこういった形でもみなさんとコミュニケーションが取れて幸せな気持ちになりました。この作品はこういう時代だからこそ観てほしい優しい温かくなれるような作品だと思うので、観てもらえたら嬉しいなと思います」と話した。
また、9月18日より本作のアナザーストーリーとなる、VRショートムービー「宇宙でいちばんやさしい時間」が配信になるということで藤井監督は「映画で描かれなかった星ばあがマコトに会う一日を描いた作品で、VRという初めての経験だったのですが、その世界を楽しんでもらえたらなと思います」と、本作で主演となる醍醐は「カットがないので舞台みたいな感覚で、これもまた遊びに行ってるような感覚で楽しんでやれました。素晴らしい役者さんの方々と長尺でお芝居するという経験も出来てすごく嬉しかったです」と見どころを語り、イベントは大盛況の中幕を閉じた。