直木賞作家・桜木紫乃の実体験がリアルに描かれる「ホテルがもうひとつの主人公」 ホテルローヤル誕生秘話 桜木紫乃&武正晴監督 コメント解禁『ホテルローヤル』

直木賞作家・桜木紫乃の実体験がリアルに描かれる「ホテルがもうひとつの主人公」 ホテルローヤル誕生秘話 桜木紫乃&武正晴監督 コメント解禁『ホテルローヤル』
提供:シネマクエスト

映画『ホテルローヤル』が11月13日より全国公開となる。原作は累計発行部数95万部を超える桜木紫乃の直木賞受賞作。メガホンをとるのは、『百円の恋』や『嘘八百』、昨年のNetflix国内視聴ランキング1位を獲得した「全裸監督」など精力的な活動を続ける武正晴。脚本は、連続テレビ小説「エール」を手がけた清水友佳子。主人公であるホテル経営者の一人娘の雅代には、映画やドラマで圧倒的な演技力と存在感を示す波瑠。桜木自身を投影した役を、繊細さの中に意志の強さを感じさせて好演。共演には松山ケンイチ、安田顕、余貴美子、原扶貴子、夏川結衣、伊藤沙莉、岡山天音ら実力派俳優陣が名を連ねる。誰にも言えない秘密や孤独を抱えた人々が訪れる場所、ホテルローヤル。そんなホテルと共に人生を歩む雅代が見つめてきた、切ない人間模様と人生の哀歓。誰しもに訪れる人生の一瞬の煌めきを切り取り、観る者の心に温かな余韻と感動をもたらす。

本作の舞台となった「ホテルローヤル」は2012年まで釧路に実在していたラブホテルである。このホテルを実家とする原作者・桜木紫乃は、これまで生まれ育った北海道を舞台に、その土地に暮らす男女の営みを静謐なタッチで書き続けた。

父親が営んでいたラブホテルの名前がそのままタイトルになった本作は、ラブホテルを題材に7編の短編で綴られ、2013年に第149回直木賞を受賞した。学生時代から家業を手伝い、そこで見聞きしてきたことが「ホテルローヤル」にも反映されている。劇中と同様に、住まいもラブホテルの事務所の上で、常に他人が出入りして、いろいろな人と出会える場所だったという。そんな桜木の実体験をもとに書かれた「ホテルローヤル」が、今回映画として新しい息吹を得て生まれ変わった。映画では、桜木に描き起こしてもらったラブホテルの見取り図を元にし、働いていた時の日常をヒアリングしながら美術を作っていった。「撮影現場にお邪魔して、波瑠さん演じる雅代の部屋を見学した際に、『彼女の生い立ちから、持ち物を探し、追ってゆく』という美術さんの姿勢に頭が下がりました。」と話す桜木。

出来上がったホテルローヤルの世界観をみて、「ホテルの部屋も、そこを訪れた誰がどんな表情をするかまで計算されているセットでした。ホテルの部屋に用意されているものや販売グッズは、経営者が大真面目に取り組んで用意したものです。 『人間って滑稽で切ないよなぁ』という、小説で最も伝えたかったことが、部屋のデザインや小道具のひとつひとつから伝わって来ました。」と語るほど、桜木の知るかつてのホテルローヤルがリアルに再現されていることがわかる。

映画人の温度を信じ、「お好きなように作ってください」と懐の深さを見せた桜木に応えるように、本作を作りあげた武監督。「小説を読んで、明らかにひとつの部屋が軸になっているのが分かったので、あの部屋での出来事が全部繋がっていることが読み取れた時に、このホテル、そして部屋をもうひとつの主人公にできないかと考えました。この部屋で起こる10年近くを描けたら、それはとても映画的だと。」と、世界観を作り上げるうえで意識した点を語っている。

最終更新日
2020-09-10 18:00:43
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