二組の夫婦の別荘生活。冬から春に変わる季節の中、夫婦たちの間にも変化が訪れる。1つの別荘をシェアした2組の夫婦が、離婚の危機に直面する5日間の物語。避暑地を舞台とした大人の恋愛映画『あなたにふさわしい』は、2つの夫婦関係を軸に「ふさわしさ」や「名前」を巡る群像劇。本作は、第 19 回 TAMA NEW WAVE ある視点部門やボストン国際映画祭 2019 など国内外の映画祭で上映され、ロサンゼルスの JAPAN CUTS Hollywood 2019 では、日本のより良いコンテンツを世界に広めるために設置されたフィルミネーション賞を受賞した。
本作の軸となる夫婦を、『カメラを止めるな!』では主題歌を歌唱し、『カメラを止めるな!リモート大作戦!』にも出演する山本真由美とデビュー以来話題作への出演が続く橋本一郎が演じたほか、もう 1 組の夫婦を演じた島侑子と中村有、そして鶏冠井孝介、紺野ふくたが好演し、オイド映画祭東京では主要キャストが特別賞(演技部門)を受賞。果てることのない人間関係の中に生まれる問題を時には激しく、時に軽快に描いた本作が提示する答えとは?
2020年6月12日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開を控える本作に、俳優の役所広司、タレントの彦摩呂、劇作家・映画監督の山内ケンジ、映画監督の武正晴、プロデューサー・映画監督の森谷雄、漫画家の洋介犬ら、各界を代表する方々より、応援コメントが届いた。
<俳優 役所広司>
男と女….。
これは、何とも理解しようにも訳がわからない。
それにしても男はなぜかよく喋り、それに対して、女は口数少なく腹が座っている。この差はなんだ
ろう?
この映画、泥沼の要素てんこ盛りだが、大団円の軽みがとても心地良い!
<タレント 彦摩呂>
うわぁこれは凄い映画やで。
登場人物の誰の目線で見るかで、全く感じ方が違うんです。善か悪か、欲か理性か、愛か憎か、白か
黒か。
毎日食べなれた食事が、たまに名店のグルメを食べると美味しさが引き立ちます。
毎日グルメじゃ、飽きる。しかし最後は食べ慣れた、いつもの食事がいいんですよね。(笑)
何のこっちゃ。
さぁ、もう一回見よう!!次は誰目線にしよ。
<劇作家・映画監督 山内ケンジ>
二組の若い夫婦は夫婦なのにいけない恋愛をしている。まだ青春なのだ。
青春は恋愛だけしていれば良いのだが、彼らには仕事がある。
恋愛と仕事との両立は、昨今特に難しく、夫婦たちは迷う。
その迷いは、都会の喧噪の中なら誤魔化せるが、空気の冷たい軽井沢にいると、直截、言葉になり、
思考になる。
その言葉と思考に、初めは勝手にしろ、と言いたくなるが、次第にもっと聴いていたくなる。
つまりは、静謐な室内楽のような映画である。
<映画監督 武 正晴>
身勝手な我々人間の生活を垣間見せられた。
彼ら、彼女達の生活に必要なもの、欠如しているものとは。何かが足りないのだ。
それが何なのかは映画館のスクリーンで見つけることとしよう。
その日が早く来ることを心待ちにしている。
<プロデューサー・映画監督 森谷 雄>
初めて観たのは「ええじゃないか とよはし映画祭2019」のコンペティション部門の審査中だった。
登場人物のキャラクター、脚本、演出…それら全てが魅力的ですぐに心を掴まれた。
特に山本真由美さんをはじめとする俳優陣の演技には目を見張るものがあった。
非日常の中で人と人との関係性は浮き彫りにされる。
そこから日常にもう一度戻れるかどうかで本当に相応しい相手を見極めることになるのだ。
インディーズ作品としては骨太な印象がこの作品にはある。
<漫画家 洋介犬>
名は枷である。
名は象徴である。
名は呪いである。
名はギフトである。
誰もが名を持っている。名無しという名ですら名である。そのカテゴライズから誰も逃れられない。
そして、それが「自分にふさわしい」か、誰もが悩む。
ふさわしい名を求め、人は時に血を流す。称号や尊称のために。
宝隼也監督の「あなたにふさわしい」はそんな名にまつわる作品である。
「ふさわしい」のために、5人の男女が惑い、求める。その悲喜劇があまりにも滑稽であり美しい。
そして最後に気づく。
「あなたにふさわしい」というタイトル以上にこの映画に「ふさわしい」ものはないと。
<劇作家・演出家 春陽漁介(劇団5454)>
別荘という閉鎖空間での会話から滲み出る心理描写は、普段演劇を作る僕にとってもとても魅力的。
加えて、軽井沢の自然という開放空間で描く人と人の距離感が関係性を立体化させる。
浮つく気持ちと必死に自分を肯定しようとする様は、きっと誰にも身に覚えがある。
カドの立たない恋なんて出来ない。愛の正体なんて掴めない。
そんな僕にふさわしい、大人の青春映画。
<映画監督 山川直人>
『あなたにふさわしい』は冒険映画である。
生きていると時々誰もが遭遇する温もりや楽しさ、悲しさそして迷い。
人は皆それらと向かい合い、あるいは逃げ道を探したりする時もある。
「その先、道はないですよ」「はあ」
しかしまた同じ方向へ歩き出し、再び考える。
愛とは何か。悲しみとは何か。ふさわしさとは?
そんな風にしてやがて言葉は空転し、また迷いと残像だけが残る。
難しいけど簡単だったりもする。
『あなたにふさわしい』とはそんな迷いの果ての人間冒険映画だ。
<映画評論家 真魚八重子>
世間がひどく不倫を憎むのは、それがいつも過渡期にあって明瞭な名称を拒むからではないだろうか。
「あなたはどちらを愛しているのですか?」――これほどくだらない質問はない。感情の明文化をも
っとも厭うのが、対立した存在の間を行き交う愛の心理だからだ。
<映画監督 山岸謙太郎>
見終わった後、登場人物たちがなぜそうしたのか。自分はどうなのか。
すれ違いも寂しいけど、ぴったりハマり過ぎるのも息苦しい。
「ふさわしい」ってどういうことなのか考える時間をもらえる作品です。
<作家 くどうれいん>
切ない恋愛映画だと思ったらだまされた。
これほど壮大で、切実で、ばからしい夫婦喧嘩を見たことがない。
美希さん、それにしてもあんまりじゃありませんか。美希のことをわかりたくないのは、わかったら
羨ましくなってしまうからかもしれない。
車から手を振るシーンのために、わたしはこの映画をもう一度観たい。あーあ、なんかもう全部許し
ちゃうじゃん。許さないけど!
ふさわしさなんて、ぜんぶ後から付いてくる。