2.5次元に存在する架空の芸能事務所「ツキノ芸能プロダクション(通称:ツキプロ)」。このツキプロに所属する音楽ユニット「SOARA」の物語を実写映画化したのが映画『LET IT BE -君が君らしくあるように-』だ。この物語で主人公の大原空を演じる堀田竜成は、看護師として働きながら路上アーティストとして活動していたところをスカウトされ、本作でスクリーンデビューを飾ったシンデレラボーイ。芸能活動を始めてすぐに大役を射止めた彼に、話を聞いてみた。
看護師として働きながら路上アーティストとして活動していたそうですね。
■堀田竜成:昔から歌手になりたくてオーディションを受けたりもしていたんですけど、現実的なことを考えて看護師になったんですよね。それで大阪の救命救急病棟で働いていたんですけど、若い人が亡くなっていく姿を目の当たりにすることが多くて。それで、やっぱり後悔しない人生を歩みたいと思い、音楽活動をするために東京に出てきました。それが去年の4月なんですけど、音楽活動をしながら働ける病院を探して、看護師として働き始めたんですね。それで8月に路上ライブを始めて、9月にスカウトされました。
スカウト直後に受けたオーディションで主役の座を射止めたということですね。
■堀田:「この役は僕に似てるところがあるから」ってすすめられて受けてみたんです。オーディション当日も朝から6時まで働いていて、その後に7時からオーディションだったんですよ(笑)。
こんなにトントン拍子に進んでいく展開は予想していましたか? 幸運の秘訣とかはあるんでしょうか?
■堀田:僕も全く予想外で、周りの人もみんな驚いてる感じですね。この幸運の秘訣は、とにかく向上心を持ってなんでも挑戦してみることだと思っています。地元で音楽やダンスをやっていて、周りからバカにされたりや親の反対なんかもあったんですけど、自分を信じ続けてきたことで道が開けたんだと思います。これは夢を持っている人みんなに伝えたいんですけど、自分の夢や目標を持ち続けて、いろんなことに挑戦し続けて欲しいなって思いますね。
ご自身が主人公の大原空くんを演じるうえで、何か共通点などは感じましたか? お話を聞いていると空くんに似ている感じがします。
■堀田:空くんは中学時代に音楽に挫折して音楽をやめた経験があるんですよね。僕も一度は音楽をあきらめて就職したんですけど、やっぱり僕には音楽しかない」と音楽を始めたので、そういう部分ですごく似ていると思いましたね。似たところがたくさんあるので、演じやすかったです。
演技も初めてということなんですけど、空くんにぴったりはまっていましたね。
■堀田:監督にも、空くんと僕は本当に似ているから、そのままでやれって言われたんですよね。だからそのままの自分の素で演じているのが良かったのかもしれないですね。
ファンも多く世界観も出来上がった原作のある作品で、プレッシャーはなかったですか?
■堀田:プレッシャーしかない、という感じですね。空くんのキャラクターを僕が崩してしまって作品を台無しにしてしまったらどうしようとか…。でも監督やスタッフ、共演者の皆さんが支えてくださったので、なんとか撮影に臨むことができました。本当にありがたかったですね。
石渡真修さん、吉田知央さん、植田慎一郎さん、沢城千春さんら、SOARAのメンバーの皆さんとの顔合わせはどんな感じだったんですか?
■堀田:初めて会ったのがスタジオでのバンド練習だったんですよ。その時はかなりぎこちなくて(笑)。誰がどの役を演じるのかもわからない状態で、とりあえず一緒に楽器を弾くって感じだったんですよね。その後で台本の読み合わせがあって、それで誰がどの役かわかった感じですね。でも今はもうめちゃめちゃ仲良しで、常にLINEでやりとりをして一緒に遊んだりしてます(笑)。
同じ世代で、俳優、ミュージカル、モデル、声優と、様々なキャリアのメンバーが揃っていますよね。
■堀田:そうですね、みんなに刺激を受けました。石渡真修さんは常にいろんな舞台に出てるんですよね。すごく俳優という仕事に対して熱量のある人なので、憧れますね。沢城千春さんも、すごいんですよ。もともと声優として今回演じた七瀬望役を演じてたんですけど、今回は実写で俳優として同じ役を演じているっていうのもすごいですよね。僕自身、声優になりたいという思いもあるので、憧れしかないです。スタッフや共演者に対する気遣いもすごいので、こういう存在になれたらいいなと思いますね。
初めての映画撮影ですが、撮影中、もっとも大変だったことは何ですか?
■堀田:セリフを覚えるのが大変でしたね。他の人のセリフを全部録音して、それにあわせながら自分のセリフをブツブツ言うっていうやり方で、セリフのテンポ感を覚えていきました。
何かエピソードなどはありましたか?
■堀田:今回、走っていることが多い役なんですけど、神社を走るシーンでけっこう本気で走っている時にすごい勢いで転んじゃったんですよ。制服に傷をつけちゃって、かなり痛かったですね。だから走っているシーンはしっかり見て欲しいですね。
ライブのシーンは実際に演奏したんですか?
■堀田:そうなんです。実際に通しでライブをやったって感じです。エキストラのお客さんも200人近くいて、楽しかったですねー。「盛り上がっていこー!!」なんてMCもさせてもらって。今後もSOARAとしてライブツアーをやれるといいねって話してるんです。ぜひ実現させたいなー。
ご自身の高校時代はどんな学生だったんですか?
■堀田:高校時代は看護科に通ってたんですけど、その高校にバスケ部がなかったんです。僕は小2からバスケをやってて、どうしてもバスケがやりたかったんで、高校にバスケ部を作ろうとしてメンバーを集めたんですけど、結局作らせてもらえなくて。だから、隣の高校に「バスケをやらせてください!」って頼み込んで、毎日放課後に別の高校に行って3年間バスケをやってました。
その辺も空くんに似ている感じですよね。看護科って女子が多そうですけど、かなりモテたのでは?
■堀田:それがねえ、モテなかったんですよー。その辺も空くんに似てるんですけど、モテるキャラじゃなくて、友だちキャラというか、みんなと仲のいい友だちキャラって感じでしたね。
これからどのように活動していきたいと思っていますか? 何かやりたいことはありますか?
■堀田:歌手活動をしたいと思って東京に出てきたので、音楽活動はやっていきたいですね。声優もやりたいですし、今回の大原空くんのような自分にあった役があれば、映像系もやっていきたいです。いろいろ経験してきているので、その経験が俳優として役に立っていたりもするので、俳優として少しでも皆さんに届いて、感動をお伝えできればいいと思います。演技はまだまだ勉強中なので、もっともっと高めていきたいですね。
劇中の空くんと同じような明るい笑顔、明るい口調でよどみなく質問に答えてくれる堀田竜成くん。まさに空くんのような明るさと人懐っこさを持ったキャラクターで、彼が大原空役に選ばれた理由がよく理解できた。音楽活動、俳優、声優といろいろとやってみたいと前向きに答える彼は、今後、二次元、2.5次元、三次元と様々な世界に活動の幅を広げていくに違いない。
取材・文:松村 知恵美