日時:9月22日(日)
場所:渋谷ユーロスペース
登壇:妻夫木聡/石井裕也監督
司会:神取恭子
「第63回日本推理作家協会賞」を受賞したミステリー作家・貫井徳郎氏の『乱反射』を、数々の映画賞を受賞し海外からも熱い視線を注がれる石井裕也監督が実写映像化。海外からの高い評価を受け、9月21日(土)より、渋谷ユーロスペースにて一週間限定で劇場用ディレクターズカット版が劇場公開となった。
9月22日には、石井裕也監督と主演の妻夫木聡が上演後に舞台挨拶に登壇した。
妻夫木聡:今日はこんな夜遅くに『乱反射』を観てくださって、ありがとうございました。短い間ですが、最後まで楽しんでください。
石井裕也監督:テレビ放送をした作品にも関わらず、映画館までお越し下さり本当にありがとうございます。最先端である5.1chサラウンドの音に変え、編集も少し変えました。
司会:(妻夫木さんと井上真央さん演じる夫婦がサンドイッチを食べるシーンを観て)、この夫婦を象徴しているのかなと思ったのですが、演出の意図は?
監督:“生きる”っていうことですよね。思い出しましたけど、あのサンドイッチのシーンの直前に妻夫木さんと井上さんは差し入れのフルーツサンドをたくさん食べていました。(シーンの中でサンドイッチを)いっぱい食べるって書いてあるのになんでフルーツサンドを食べるのかなと思って…(笑)
妻夫木:差し入れで美味しそうなのが入っていたので食べるでしょう!僕も人間ですから(笑)。でも真央ちゃんはしんどそうでしたね。僕は全然大丈夫だったのですけど。だけど不思議だったのが、役の中で(苦しいことばかりだったので)ようやく楽しい雰囲気が出てきた頃に、食べていることで、生きることを実感するというか…(今までは)言葉で自分を励まそうとしたり、考えて誤魔化している自分がいたけれど、“食べる”という行為はすごく身に沁みる感じだったんですよね。芝居している時も不思議な感覚だったのですが、泣けるシーンになっているとは思っていなかったので、作品を見たときにほろっとしたのが嬉しかった瞬間でした。
司会:井上真央さんとの共演はいかがでしたか?
妻夫木:初共演だったのですが、壁を感じさせない方でした。ドンと飛び込んでいくことができたと思います。
監督:二人は、本当に素晴らしかったですね。安心してお任せできました。
司会:最後にお二人より一言ずつお願いします。
妻夫木:こうやって(放送してから)1年経って映画が公開するっていうのは夢見たいなことなので本当に嬉しいです。見てくださるお客さんがいる限り、こういう作品というのはずっと生き続けるものだと思っているので、もしよかったらこの作品を見終わった後も、この先どうあるべきなのかなとか、自分の中に起こった何かというのものをずっと考え続けていてくだされば、『乱反射』も生き続けて行くものだと思っております。本日は本当にありがとうございました。
監督:今日本社会で起こっているあらゆる問題を、直接ではなく、こういうエンタテインメント作品の中で感じさせることができるんじゃないかなと思い、その試みを2年前にやろうとしていたのです。やっと完成したそんな作品をつい先日も観たのですが、全然色褪せていないというか、きっと変わらないのでしょうね。きっと何年経っても色褪せないというところまで到達できたのではないかという自負があって、自信作なのです。スタッフやキャストの皆さんがとてもいい仕事をして下さって、力のある作品になったと思います。なので公開されることが本当に嬉しいし、幸せに思っております。今日はご来場頂き本当にありがとうございました。
公開は渋谷ユーロスペースにて一週間限定公開(9月27日金曜日迄)。その他全国順次にて公開予定