映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『河童のクゥと夏休み』など世界35以上の映画賞に輝き、大人が泣けるアニメーションの巨匠・原恵一監督が描く『バースデー・ワンダーランド』(ワーナー・ブラザース映画配給)の 4 月 26 日(金)の公開に先駆け、ジャパンプレミアが都内で開催された。自分に自信のない主人公”アカネ”の声を務める女優の松岡茉優、好奇心旺盛で自由奔放なアカネの叔母“チィ”役の女優の杏、アカネをワンダーランドに連れ出す大錬金術師”ヒポクラテス”役の俳優の市村正親、ヒポクラテスの弟子”ピポ”役の声優の東山奈央、原恵一監督が登壇した。
会場から大きな拍手に迎えられ登壇した主人公アカネ役を務める松岡は、「原監督とは実写映画以来で二度目のタッグになりますが、今回は挑戦してみたかった監督の“主戦場”であるアニメーション映画なので、台本一行ずつ丁寧にご指導を賜りながら務めました」とアニメーション映画の初主演声優作品への意気込みを語り、自由奔放で好奇心旺盛な叔母チィ役の杏は「異世界モノで保護者付きってなかなか珍しいんじゃないかな。叔母という存在は親や姉妹ほど近くはないけど他人ではない素敵な関係。異世界にひるむことなく楽しむチィはこうありたいと思う魅力的な女性」とコメントし、ワンダーランドの救世主としてアカネを迎えに来たヒポクラテス役の市村は「長く生きてきてよかったと思えるような役に出会えた。ヒポクラテスは大錬金術師という知的な役で、僕は舞台役者で職人みたいな人間なので、監督にしっかり修正してもらいながら作りました」とコメント、ヒポクラテスの弟子ピポ役の東山は「子供のころから原監督作品が大好きで特に『(映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国』が大好き。スクリーンを通して五感に働きかけるワンダーランドを楽しんでほしい」と挨拶とともにそれぞれ作品についての思いを語り、ジャパンプレミアでの上映に思いを寄せた。
登壇者がカラフルな衣裳で登壇する中、一人真っ黒のワンピースで登壇した松岡。色が失われつつある世界から色を取り戻す救世主に強引にさせられワンダーランドに冒険に出るストーリーにちなみ、“色を取り戻す”ワンダーな体験に挑戦。「失われた色を取り戻してきます!」と劇中に登場するワンダーランドに続く“地下室の扉”をくぐって姿を消してしまった。会場から「アカネ~!」と一斉に呼ばれると、本作のイメージソング、「milet」の「Wonderland」の曲ととも色とりどりの紙吹雪に包まれた松岡がカラフルなドレスに大変身して登場。映画のストーリーを体現した松岡は「色を取り戻しました!これからご覧になるみなさんはアカネの色を取り戻す冒険をお楽しみ下さい」と一発勝負の“ワンダーな体験”を喜び、杏はこの演出について「もう一回見たい!」と興奮、市村はこの演出について、「「開かね~」って扉が開かなかったらどうしようと思ったよ」と“アカネ”に掛けて会場の笑いを誘った。
カラフルな衣装に身を包んだ松岡と共にトークが進み、「失敗が怖く、「できっこない」と思っても、それでも一歩踏み出さないといけない時はどうしますか?」と主人公アカネの性格にちなみ MC から登壇者全員に質問が投げかけられると松岡は「『緊張』を『興奮している』と思うようにして重荷をパワーに変えている」と伝授、杏は「やる前に想像していた問題とやった後に起こる問題は大体違うのでとりあえずぶつかる」と自身の 10 代の頃のパリコレモデルのエピソードに絡めて語り、東山は「不安に思う気持ちには理由があるので、その理由をしらみつぶしに潰していく」と語り、市村は“一歩”踏み出してアキレス腱を伸ばすストレッチのポーズをしながら「怪我をしないたために、成功させるために下準備する。「この役がやりたい」と信じることが一歩踏み出す勇気になる」とそれぞれの一歩踏み出す方法についてコメントした。
また、主人公アカネがワンダーランドに出た直後で失くしてしまった宝物を見つける話にちなんで「失くしたくなかったけど失くしてしまった宝物」についての回答を事前に書いたフリップを一斉に発表するコーナーになると「キューバで失くした万年筆」と回答した杏は「成人の祝いでもらった物だったけど失くしてしまった。プレゼントしてくれた親はこのニュースを見て知ることになるので、ごめんね」と語ると、「チィの経営する骨董屋にあるかもね」と映画にちなんだ粋な市村のフォローに登壇者は全員笑顔。
続いて「四色ペン」と回答した東山は「台本チェック用なので重宝しているのに必ず失くしてしまってマーキングしているみたい」と語り、「小学生時代の通信簿」と回答した松岡は「10 歳と 7 歳の息子に見せて「パパもこの程度(の成績)だったから気にすることはないよ、元気が一番」と教えてあげたい」とそれぞれの”失くしてしまった宝物”に関してのエピソードを語る中、質問内容を勘違いし「苦手な食べもの」と回答した松岡は、「意思を持って失くしたものなんです!」と昔の好き嫌いを克服した話を披露。“失くしたくなかったもの”や“意図的に失くしたもの”のエピソードを受けて、逆に失くしたくないものを聞かれると監督は「お客さんと真剣に向き合う気持ちは失くしたくないですね」とコメントした。
4 月 26 日(金)の公開ということで翌月に控える新年号がバースデーを迎える直前の公開となる本作は平成最後に公開されるアニメーション映画でもあることから、今この作品を作った意味について問われると原監督は「公開タイミングはたまたまですけど、お客さんにカラフルな絵を楽しんでいただけるように自分に課題を課した大サービスです。曲を書いてくれた milet さんも秘密兵器的なアーティストさんで、初号でびっくりするくらい泣いてくれて嬉しかったし、この作品は皆さんを素敵な世界に誘える自信がある作品になっているので楽しんで」と語った。最後にこれから映画を観る観客に向けて松岡は、「今からワンダーランドの世界を体験できる皆さんがうらやましい。大人になってから怒ったり悔しかったりの涙はあるけど、この種類の涙っていつから流していないだろうと、感情の壺が溢れ、アルシーンではアフレコをしながら泣けて泣けてしょうがなかった。この映画を全員が見たら明日は誰も喧嘩しないと思うくらいです」とイベントを締めくくった。