フランスの文学界を代表する女流作家マルグリット・デュラスが、まだ作家として名声を得る前の30代に経験した“苦悩”と愛を綴った自伝的小説を映画化した「あなたはまだ帰ってこない」が、2月22日よりBunkamura ル・シネマ他にて全国順次公開となる。本作の監督を務めるのが、独特な映画づくりをすることで有名なジャン=リュック・ゴダールやクシシュトフ・キェシロフスキの映画に、助監督として彼らと一緒に映画を作ってきたエマニュエル・フィンケルだ。日本公開に先駆け、ゴダールとの映画作りや本作で用いた独特な撮影秘話とメイキング画像が届いた。
これまでに数多くの映画監督の現場を経験したフィンケル監督が一番影響を受けたのは、「やはりゴダールです!ゴダールもキェシロフスキも非常に偉大な映画監督で、非常に力強い人。でも、一番学びが多かったのは、ゴダールです。彼は非常に独特な撮影哲学を持っていて、一緒に仕事をし、彼のやり方を見ながら、光や照明、動きの見方を学びました。20年近く彼の助監督をやって、学ぶことは非常に多かったです」と、当時を振り返った。
そんな偉大な監督たちから学んだフィンケル監督の撮影方法も、かなり独特!ナチス占領下のパリで、捕虜として捕まった夫の安否が掴めず、苦しむマルグリットを演じるメラニー・ティエリーのセリフは最小限に少なく、その表情と佇まいで演じているのですが、撮影中、フィンケル監督は、ずっとメラニーに語り掛けていたそうだ!「大切なことは、役者が役になりきること。撮影中、私はずっとメラニーに語りかけ、その言葉を聞いてメラニーは、自然に反応していく。作られたセリフではなく、とても集中していき、感情が自然に表現できているんです」と、驚きの撮影テクニックを明かしてくれた。
また、パリ解放の後、自分の家族を探す人々のシーンでは、デュラスと同じような経験を持つフィンケル監督の父親の実体験を盛り込んだエピソードも盛り込まれていると語った。